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頼れる“助っ人”活躍 介護施設でロボット活用

2016年11月11日

一緒に歌って会話して 入居者と交流癒やしにも

 高齢者とのコミュニケーションを助けたり、介護者の負担軽減に一役買ったりする「介護ロボット」を活用する動きが、県内でも始まっている。その活躍ぶりや、県内企業の周辺機器開発の取り組みなどを紹介する。

「皆さん、私と一緒に歌いましょう…ミュージック、スタート!」-。ロボットから人工音声に続いて、音楽が流れだす。「秋の夕日に…」。ロボットの歌声に合わせ、入居者は手拍子を打ちつつ、童謡「もみじ」を合唱した。

 上越市安塚区の特別養護老人ホーム「あいれふ安塚」では毎日午後、レクリエーションの時間にコミュニケーションロボットの「Pepper(ペッパー)」を活用している。

 ペッパーは身長120センチの人型で、二足歩行ではなくタイヤで移動。胸部のタッチパネルを操作すると、体操をしたり歌ったりする。体操では「手を上げて」といった指示も出す。利用者はペッパーの動きをまねて上半身を曲げ伸ばしし、ゆっくり体をほぐす。

 「レクリエーションのケア効果を上げるには本来、ある程度の人手が必要」と、介護職員の外立あけみさん(43)は説明。「ペッパーが“お手本係”をしてくれると、職員はその分、利用者への声掛けや体調の見守りに当たることができる」と、導入のメリットを語る。


ロボットには、利用者への癒やし効果も期待されている。あいれふ安塚ではペッパーの他にも、人型ロボット「PALRO(パルロ)」が使われている。こちらは身長40センチ。人工知能で相手の顔を覚え、会話をするのが得意だ。

 愛くるしい動物型のロボットも活躍する。

 燕市の特別養護老人ホーム「白ふじの里」の談話室では、午後になると、見た目は縫いぐるみのようなアザラシ型ロボット「PARO(パロ)」が目を覚ます。

 ふかふかの毛に黒々とした目。なでたり、声を掛けたりするとまばたきをして「キュー」と鳴く。「世界で最も癒やし効果があるロボット」としてギネスブックにも認定されており、面会に来る子どもたちにも「かわいい」と人気だ。

 ブラッシングなどパロの“お世話”は、ケアプランにも組み込まれている。「犬が好きなんだ」。利用者の男性は、パロの頭を満面の笑みでなでた。抱きかかえ、子どもをあやすように歌を口ずさむ女性もいる。

 白ふじの里園長の佐野一美さん(57)は「動物や縫いぐるみが好きな人は、特に表情が柔らかくなる。若い職員にとっては利用者の好みや歴史を知るきっかけになり、会話の糸口になる」と話し、頬を緩めた。「パロのかわいいしぐさに、職員の心も癒やされています」

パワードスーツ ベッドに椅子に移動楽々 職員が腰に装着 力仕事の負担軽

 十日町市の「ケアセンター三好園しんざ」では、介護従事者の負担軽減を目的に、パワードスーツ「HAL(ハル)介護支援用」が活躍している。腰に器具を装着した女性職員が、利用者の女性を難なく抱きかかえ、ベッドから車椅子へと移していた。

 介護職員の福島麗加さん(27)は「機械に体が動かされている感じ。腰の負担がなくて、すごく助かっている」と語る。施設長の松村実さん(58)も「職員2人でやっていた要介護者の移乗が、HALを使えば1人でできる」とそのパワーに驚く。

 三好園しんざでは県の「介護ロボット活用による機械化・自動化モデル事業」を活用し、今年10月からHALの腰タイプ5台を介護の現場で使っている。カーボンファイバー製で重さは約3キロ。体の電位信号をセンサーが読み取ることで内蔵モーターが動き、腰への負担を最大で約40%軽減する効果がある。

 三好園しんざの特別養護老人ホームの入所者は50人。平均年齢は88歳で、平均介護度は4を超える。高齢化と介護度の重度化が進む中で、職員の肉体的負担は増している。

 松村施設長は「うちは55人の介護職員のうち7割が女性。入所者の移動や移乗にかかる負担から、慢性的な腰痛に苦しむ職員が多い」と語る。HALの導入に向けた研修では職員から、「これはいい」と驚きと期待の声が上がったという。

 一方でHALの腰タイプは持ち上げる動作では効果を発揮するが、「体を横にずらす」といった動作にはほとんど負担が軽減されないことが分かった。このため入浴時などは、体を滑らせて移乗するスライディングボードなどの支援器具と組み合わせて使っている。

 松村施設長は「どんな場面だと介護の負担軽減につながるのか介護ロボットの特性を生かし、より効果的な活用法をケアプランに落とし込んでいきたい」と話す。

周辺機器開発の越後工業

着脱時間、快適さ 現場の声受け改良続く

介護や医療の分野で活躍が期待されるパワードスーツだが、現状は装着に時間がかかったり、自力で着るのは難しかったりし、導入には課題も多い。ロボットをより効果的に活用しようと、周辺機器を開発する県内企業の動きもある。

 出雲崎町の自動車部品製造「越後工業」は2013年に、歩行のリハビリなどに用いるパワードスーツ「HAL介護支援用(下肢タイプ)」を少人数でスムーズに着脱するための椅子型補助具を開発。従来、HAL下肢タイプは、利用者の体を支えながら装着に数人掛かりだった。それをあらかじめ補助具に取り付けておき、その上に利用者が座ることで、装着が容易になるという。

 翌14年には、利用者を寝かせてHAL下肢タイプを装着できるストレッチャー(足つき担架)型補助具を開発している。

 介護職の負担軽減を目指すHAL腰タイプ用の補助具もある。介護施設関係者によると、腰回りが細すぎるなどして体形がHALに合わず効果を感じにくかったり、硬い素材に腰骨が当たって痛みを感じたりする職員がいる。同社はクッション素材を製造する技術を生かしたクッション付きベルトを考案。化学繊維を使用し、通気性が良く簡単に洗濯できるのが特長だ。

 また、パワードスーツの下に着るボディースーツの開発にも取り組んでいる。木川勇三社長(67)は「ロボットは進化の途中にある。福祉現場のニーズとロボットの橋渡しをしたい」と言う。


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