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こんな時どうしたら

〈第10回〉在宅療養望んだ95歳 誤嚥性肺炎後に意欲低下

2017年6月13日


訪問診療、看護 家族もケア

娘夫婦と3人暮らしの女性Jさん(95)は血圧と心不全の持病があり足腰も悪くなり歩行できなくなりました。心不全は悪化し少し動くと息苦しい感じがあります。かかりつけ医から定期的に訪問診療をうけ在宅療養を続けています。

ある日、熱とせきが出てきたと訴え緊急往診となりました。飲み込みがだんだん悪くなっているので、間違って食べ物が肺に入ってしまう誤嚥(ごえん)性肺炎になったようでした。

数カ月前も同様の症状がありましたが、抗生剤の点滴で改善し、その後リハビリにも励んで、歩行器を使って歩くこともできるようになりました。

前回と同様に抗生剤の点滴で経過を見たところ1週間ほどで肺炎は改善しました。しかし、今回は意欲が落ちて食欲の改善がみられないのです。食事が取れず、ベッド上の生活になりました。褥瘡ができる可能性が強くなり褥瘡予防のマットレスにケアマネジャーが変更しました。

それでも、自宅で最期を迎えたいと繰り返していた本人の希望に添い、今まで通り在宅で診ていくことにしました。家族も最期まで見届けるつもりです。

食事は数口くらいでそれ以上は取れません。むくみが強くなり点滴をするとさらに悪化する可能性が高くなりました。この段階での点滴はむくみがさらに強くなる可能性が高いので避けることにし、食べられるだけ食べてもらい経過を看ることにします。

徐々に寝ている時間も長くなりました。1日に食べられるのは大好きなアイスを数口だけです。血圧も低く測れなくなり、尿の量も少なくなりました。尿が出なくなったら残された時間はほとんどないのです。こうしたことをかかりつけ医から説明しておくことで、家族も心の準備をすることができます。

訪問看護も、家族の大きな助けです。家族の不安を受け入れ、相談相手となり、介護の仕方、亡くなるまでの経過を丁寧に教えてくれます。

数日後、数口食べたアイスの容器を片付けた家族が戻るとJさんの呼吸が止まっていました。訪問看護とかかりつけ医を呼び死亡確認となりました。

「最期まで大好きなアイスを食べられて良かった。痛いとも苦しいとも言わずに静かでした。自宅療養を選択したことで最初はどうなるか不安でしたが、最期まで看ることができて良かったです」と家族から声を掛けていただきました。






ささえ~る+アドバイザー

阿部 行宏さん

(阿部胃腸科内科医院院長)




最期は自分らしく生きるために

 だれもが迎える死ではありますが、病院で亡くなることが多い現在、自宅での看取りのイメージが湧かず不安になる家族は多いでしょう。

 最後に病院にいると病院は医療の場であって、時間や環境の制限があり、自分らしく生活することはできなくなります。

 最期くらいは自分らしく自宅での生活をしたい、という希望をかなえるために、在宅では医療面からだけでなく生活のサポートのために多くの職種が関わって最期まで家族の不安や問題の解消に努めます。

 しかし、どうしてもいよいよ最期になって不安が解消できずに亡くなる直前に入院をすることもあります。それも本人や家族の納得できる選択であればよいと思います。

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