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こんな時どうしたら

〈第16回〉がん悪化、積極的な治療拒否の65歳 本人の意思尊重し在宅療養

2017年11月13日



定期・随時で訪問介護看護

自由な生活最期まで


 糖尿病の持病があり60歳の時に脳出血した後遺症で左半身まひとなったPさん(65)は、愛犬とともに自由気ままなアパート暮らしをしていました。日常生活動作はほぼ自立していたものの、その後に食道がんと咽頭がんが見つかったため介護保険を申請し要介護1に認定されました。

 利用したサービスは食生活の見直しと内服確認、健康管理を目的とした「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」です。転倒予防のリハビリのためデイサービスにも通いました。当初多かった飲酒量は「ヘルパーとの会話で気がまぎれる」といい、次第に減りました。

 63歳の時に脳梗塞を発症し約1カ月間入院。退院時は体力が低下したうえ飲み込みが悪くなり、担当医は流動食を指示しました。しかし、本人は「食べたいものを食べて詰まらせても、俺の責任。勝手に決められては迷惑だ」と拒否。このため妹さんが食事を提供して見守る対応としました。

 Pさんは常々「介護、看護の助言や心配はありがたいが、自分のことは自分で決める」と話していました。がんの悪化を告げられても、積極的な治療を断りました。

 そこで担当医はがん末期の本人の意思を尊重し在宅でのみとりの態勢を取りました。引き継いだ在宅医や訪問看護師、介護士らによるチームカンファレンスでは、苦痛が少ない療養生活の継続に努めることにしました。

 1年後、Pさんは日増しに体の不調を訴え、食事は水分のみ、トイレ以外はほとんど寝たきりになりました。介護看護の訪問回数を増やして環境を本人の好きなように整え、明かりとテレビは常につけたままでした。

 意識は最期の日までしっかりしていました。ヘルパーの連絡で駆け付けた妹さんと在宅医、訪問看護師が見守る中で旅立ちました。本人が望んだ暮らしを最期まで続けることができたのです。

 妹さんからは「わがままな兄で迷惑を掛けましたが、皆さんのおかげで満足して亡くなりました」と感謝の言葉をいただくことができました。




ささえ~る+アドバイザー

吉井靖子さん





最期まで自分らしく

病院と変わらぬ対応可能


 地域包括ケアシステムは重度な要介護状態になっても、障害を抱えても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを、人生の最期まで続けられることを可能にするシステムです。まさに今回はそれを実践できたケースで、定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスなどが支えました。地域に暮らしながら、病院や施設と同様のサービスを受けられることができたのです。

 今回のケースはみとる時に家族がいて医師や看護師、介護士がいる、病院となんら変わることのない態勢でした。違いは本人が築いた暮らしの中で、人生の最期を迎えたということです。「本人の選択・本人家族の心構え」の大切さをあらためて教えられました。

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