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こんな時どうしたら

〈第22回〉息子夫婦と同居 がん告知された76歳 抗がん剤治療やめ自宅療養

新潟日報

2018年6月23日


治療方針 家族と話し合い

延命措置は希望せず
 妻を亡くし、息子夫婦と一緒に暮らす男性Vさん(76)。腹痛や食欲不振が続き市内の病院を受診したところ、すい臓がんと告知されました。発見が遅く、すでに手術ができない状態だったため、当面は入院して、抗がん剤治療を行うことになりました。
 退院後、半年ほど外来で抗がん剤治療を続けていましたが、徐々に進行する病に不安を抱いたVさんは家族とともに、主治医の元を訪ねました。「これから痛みが強まる恐れがある」「短期間で急激に病気が悪化することもある」との主治医の説明に、Vさんの顔も曇ります。
 同居する家族と今後の治療方針について何度も話し合った結果、「痛みがあれば麻薬を使う」「つらいときは抗がん剤治療を中止する」「中止後は自宅療養する」ことを医師に伝えました。
 一進一退の日々が続く中、病状は徐々に悪化し、痛み止めの麻薬を使い始めました。さらに、抗がん剤の影響で食欲が落ち、体重は減り続けます。主治医は本人の意思を尊重し、抗がん剤の投与を中止。その後は、近所のかかりつけ医が、痛みの治療に当たりました。
 しばらくは、定期的に通院を続けましたが、体も弱り、最終的に訪問診療に切り替えました。「住み慣れたわが家で最後を迎えたい」との本人の願い通り、入院せず自宅で過ごします。具合がいいときは、息子夫婦や孫に話しかけ、「元気なころの写真を遺影に使ってほしい」などと時折、笑顔を見せることもありました。
 亡くなる最後の数日間、ベッドで寝たきりの状態になります。薬の効果で痛みはなく、本人も「横になっていれば大丈夫」と落ち着いていましたが息切れがひどく、かなり苦しそうでした。
 息子がつきっきりで看病を続けましたが、夜中にトイレに行っている間に息を引き取りました。連絡を受け、訪問看護師とかかりつけ医が自宅に駆け付けたものの、本人の希望通り、心臓マッサージなどの延命措置は行われませんでした。

ささえ~る+アドバイザー

阿部行宏さん

(阿部胃腸科内科医院理事長)



本人が望む治療方針
状態見ながら変更可能
 がんを告知されたVさんは、治療の方針や具体的な方法について家族と話し合い、あらかじめ医師に伝えていました。これを「アドバンス・ケア・プランニング」(ACP)といい、本人の意思や価値観を終末期の医療、ケアに反映させるものです。本人の状態や予測を踏まえ、今後どのように対応するのか決めておくことは重要です。
 1人で決める場合もありますが、本人が判断できなくなった場合に備え、家族や親族を交えた方がいいでしょう。できれば記録として残してください。一度決めたからといって、変更できないわけではありません。状況を見ながら、何が一番いい方法なのか、そのつど話し合ってみてください。




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