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担い手たずねて

〈第10回〉県栄養士会十日町支部 (十日町市)

2017年4月17日



課題の「低栄養」、訪問で改善

 「ヘモグロビンA1cが何でこんなに上がったんでしょうね」。管理栄養士の蕪木康子さん(58)は十日町市の医院を受診した女性(75)に、2日分の食事内容と医師の指示書を見比べて問い掛けた。

 小鉢や皿に盛り付けた総菜の模型を示しながら実際の食事量を確かめ、摂取エネルギーを計算した。血糖値が高くなった理由に首をかしげると、女性は冬中もちを食べたと明かし「好きだから一つじゃやめられなくて」と照れ笑い。蕪木さんも笑みを浮かべてうなずき、食べる量の加減や、油を使った料理が重なり気味なことに注意を促した。

 十日町保健所管内では、蕪木さんが所属する県栄養士会十日町支部と十日町市中魚沼郡医師会が連携して「地域栄養サポートシステム」を構築。医療保険や介護保険を使った、診療所または在宅での栄養食事指導に積極的だ。

 訪問指導も行う蕪木さんが在宅療養者の課題と指摘するのは、肉・魚・大豆製品・卵といった栄養摂取の不足による「低栄養」だ。筋肉がやせ細って体を動かすことや外出がおっくうになり、うつ状態や認知機能の低下など悪循環に陥る恐れがあるという。

 同支部の在宅訪問管理栄養士、瀬下美奈子さん(35)が、訪問診療した医師の指示で栄養指導に向かう先でも低栄養が目立つ。

 介護者が用意した食事を半分も食べなかったり、タンパク質が不足して럀褥瘡(じょくそう)が悪化したり。どんな食事を用意しているのか、実際に食べる様子はどうか、なぜ食が進まないのか、本人と家族から根気よく聞き出すことから始める。「本人の好みや入れ歯の具合など、家族が一緒に暮らしていても意外に分かっていないことも多い」(瀬下さん)。

 昔好きだったクリームパンを加えたら食べるのが楽しみになり、体重が増えたお年寄りがいた。寝たきりの妻に好物だからと毎食おはぎだけを食べさせていた夫が、ミキサーを使った野菜の調理法を教わり栄養バランスへの意識が高まった例もあった。家計に余裕があれば栄養補助食品の利用も効果的だという。

 瀬下さんは「家族の負担を軽減しながら、本人がより豊かな暮らしを続けられるようにサポートしたい」と話した。




 県栄養士会は、管理栄養士による訪問栄養食事指導に取り組んでいる。普段の食事内容と本人の身体状況をチェックして、栄養価の過不足を算出。本人に合った献立や量を検討し、家族の負担にならずに実行できる計画を提案する。低栄養のほか、糖尿病や脂質異常症、高血圧症などで食事管理が必要な人らが対象で、主治医の指示書が必要となる。



県栄養士会十日町支部

在宅訪問管理栄養士

瀬下美奈子さん





豊かな暮らしサポート 

在宅訪問での管理栄養士の役割は、家庭内の食に関するコーディネーターです。本人が話したがらなかったり、家族が他人を入れることに拒否感を示したりする場合もしばしばありますが、定期的に通いながら、患者の声なき声や家族の思いを聞くことに努めます。その上で、低栄養の人ならまずしっかり食べてもらうようにサポートします。

 3食の菓子パンを1食は調理パンに変えたり、好物を加えた献立を考えたり。その家庭の台所にある調理器具を使った料理のレシピを考え、介護者と一緒に作ります。むせにくいように、スプーン一さじすくう量から、舌のどの部分に置くかまで指導。食に対する前向きな意識が介護者に芽生え、患者の豊かな生活につながるのです。

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