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担い手たずねて

〈第11回〉長岡在宅フェニックスネットワーク協議会(長岡市)

2017年5月2日


情報共有端末、救急隊で効果大

 長岡市消防本部に深夜、救急車の緊急出動要請が入った。腎疾患の80代男性が、就寝中に呼吸困難になったとの一報。駆け付けた救急隊員たちは酸素投与を始めるとともに、男性が在宅患者の情報を関係者が共有する「フェニックスネット」登録者と聞き、タブレット端末で検索した。

 かかりつけ病院名と「10日前から安静時に胸の苦しさ訴え」「ぜいめい呼吸」「足のむくみ」などの経過情報を得て、当該病院に連絡した。医師は心不全を疑い病院搬送を指示、治療方針も即座に決めた。男性は迅速な処置により3週間程度の入院で済んだという。

 2015年に運用が始まったフェニックスネットは、同意を得た在宅患者の病歴や薬歴、経過記録などの情報を情報通信技術(ICT)を活用して共有する医療・介護連携システムだ。

 長岡市内の医療、介護関係団体と市の9団体で構成する「長岡在宅フェニックスネットワーク協議会(事務局・同市医師会)」が運営。1808人の患者が登録し、参加機関・事業所数は109カ所、166台のタブレットを配置する(いずれも今年3月末現在)。

 同市消防本部には昨年11月、全3消防署に16台配備された。救急管理室の佐藤正春室長(55)は「救急は搬送先の病院選定が一番難しい。患者が会話困難で、家族からの情報も曖昧だと従来は救急当番病院に搬送するしかなかった」と説明。運用5カ月間でタブレットを使用した16件中、冒頭のケースを含む6件が登録者だった。「状況把握と処置がすぐにでき、患者と病院側の負担も減らせた」と強調する。

 ICTを活用した患者情報共有・連携システムの構築が進むが、救急隊にも配備された例は全国的にも数少ないという。

 登録者の多くは訪問看護利用者で、日常的にも大きな導入効果を上げている。例えば端末で撮影した褥瘡(じょくそう)写真を共有することで、感染症対策の薬を入れたり、エアマットを導入したりなど、すぐに医師の指示を仰ぎ、対応できるようになった。

 同市長寿はつらつ課の横山幸信課長(55)は「在宅の患者に関わる機関が、互いにやり取りしやすくなった。今後は独居や高齢者のみの世帯に登録を呼び掛け、安心して暮らせるよう支援したい」と話した。




長岡在宅フェニックスネットワーク
協議会会長・長岡市医師会会長

長尾政之助さん





患者の生活より良く

 フェニックスネットによる情報共有は、在宅患者のより良い診療や生活につながります。例えばヘルパーは訪問診療や訪問看護に比べ患者宅に通う回数が多く、日々の様子をつかめます。褥瘡など患部の状況だけでなく、短時間の診察時には分かりにくい認知症の進行または改善についても早い段階で察知してくれます。そうした情報をもとに適切な診療ができるのです。

 また、かかりつけの医師も24時間365日オンコールというわけにはいきません。学会のため上京中に患者の容体が急変したことがありましたが、タブレットのおかげで搬送先での治療時間を短縮できました。医師不在時のバックアップとしても非常に有効です。

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