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担い手たずねて

〈第20回〉みのわの里工房こしじ(長岡市浦)

2018年3月5日


通所者ら買い物や通院を支援

 高さ2㍍ほどの雪壁が続く道を車で30分走り、高床式の住宅にたどり着いた。「玄関先まででいいよ。ありがとうね」と独居の女性(67)が声を掛けると、買い物に同行した障害者就労支援事業所「みのわの里工房こしじ」(長岡市浦)の通所者五十嵐正樹さん(55)と吉野たか子さん(49)がうなずき、外階段を上がって食品や洗剤の入った袋と仏壇用の花を運び入れた。

 足が不自由な人の乗降時はその都度踏み台を用意して手助けする。別の女性利用者(83)は「家族は仕事で忙しく、荷物を運んでもらっていい案配だ」と繰り返し感謝した。

 これは工房こしじが2012年に始めた「こしじ支え合い事業」の一環だ。公共交通機関の利用や一人での外出が難しい高齢者らを対象に、買い物や通院の送迎と介助、家の除雪・除草などを工房こしじの通所者と職員が支援する。料金は買い物1回200円、通院同300円、除雪・除草1人1時間350円。利用は登録制で、前日までに電話で依頼する仕組み。同市旧越路町を活動エリアとする。

 事業は、障害のある人が福祉の受け手ではなく、生活の困りごとに対応する担い手として活躍する取り組みだ。普段工房内で作業する通所者にとって、地域の人との触れ合いと仕事が「社会に出ている」という自信につながる。口コミで評判が広がり、17年度は59世帯71人の地域住民が登録するほどになった。

 記録的な大雪となった今季は、相次いだ除雪要請に応えた。自宅から通りまでの道付けなど5、6回除雪作業をした五十嵐さんは「雪を掘り起こすのは疲れたが、外作業は気分転換になるし感謝されるとうれしい」と声を弾ませる。吉野さんは「地域の人のお手伝いをさせてもらいありがたい。役立てるのが張り合いだ」と話した。

 工房こしじ生活支援員で社会福祉士・精神保健福祉士の藤巻早紀子さん(26)は「支え合い事業によって、『お互い様』から始まるつながりができる。通所者の頑張りを地域に知ってもらうことで、障害のある人に対する偏見や差別も消える」と手応えを語った。






みのわの里工房こしじ 生活支援員

藤巻早紀子さん

 会話が難しい通所者も、地域の人から声を掛けてもらうとニコッと笑顔になり、ジェスチャーでコミュニケーションをとっています。表情が明るく変化するのがよく分かりますし、優しい言葉を受け取ると、仲間にも自然に優しくなるなど精神的に成長します。

 サービスの利用者からは「いつも一人だから、だれかと話せるのはうれしい」と喜ばれます。孤独感や寂しさを和らげられているのかなと感じますし、定期利用者の場合は安否確認にもなっています。障害のある人や高齢者が住みやすい地域は、だれにとっても住みやすいはず。この事業が「お互い様」の意識を育て、地域力を高めるきっかけになればと願います。

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