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担い手たずねて

〈第26回〉三川しんあい園(阿賀町あが野南)

新潟日報

2018年10月6日

犬と触れ合い 笑顔を引き出す

 「シェラちゃん、ナミちゃん、よく来たね」。お年寄りたちが、ラブラドルレトリバーのシェラとミニチュアダックスフントのナミをなでたり抱きしめたり、笑顔で出迎えた。

 介護老人保健施設「三川しんあい園」(阿賀町あが野南)で9月下旬に行われたアニマルセラピー活動の風景だ。ホールで輪を作る入所者約30人の一人一人に犬を近づけると、「かわいい」「あったかい」と声を上げ、優しい表情を見せた。
 活動は毎月1回、園内の2カ所で約20分間ずつ行われる。車椅子で参加していた70代後半から80代の女性たちは「この時間が毎月楽しみ」「犬を飼っていた昔のことを思い出す」と口々に話す。
 高齢者は、年齢を重ねると共に体や精神の機能が衰え、意欲低下などの症状が現れる。同園は動物との触れ合いによって、高齢者に心の優しさや活力をよみがえらせようと、アニマルセラピーを2009年に導入。入所者の笑顔を引き出せるようにと願い、活動を「笑顔クラブ」と名付けた。
 当初はセラピー犬を探したが、県内では数が少なくて見つからず、職員が飼っていた犬を動物病院で訓練するなど手探りで始めた。温和な性格で人を絶対かまないなどの条件を満たし、第1号のセラピー犬が誕生。回を重ねるごとに、入所者と打ち解けていった。
 14年から県獣医師会会長の宮川保獣医師(68)らがボランティアで参加するようになり、シェラが4年、ナミが3年通っている。
 この日の活動中、ベッドに横たわったままの男性が、動きにくい左手を懸命に伸ばして犬を触っていた。職員の作業療法士、長谷川将義さん(42)は「手足や言葉が不自由な人が普通のリハビリではできないことを、犬たちが引き出している」と効果を指摘する。
 宮川獣医師は「定期的にアニマルセラピーを行っている施設は県内では少ない。もっとこの活動の良さを多くの人に知ってほしい」と話す。百々(どど)猛施設長(92)は「犬と触れ合っている時の入所者たちの笑顔が素晴らしい。この笑顔のために、ずっと続けていきたいですね」と力を込めた。




三川しんあい園施設長

百々 猛さん




毎月の活動 心待ちに

動物とのコミュニケーションは、高齢者の心身の健康にとって大切です。
 ドイツやオーストラリアでは、高齢者の動物飼育に健康向上効果があり、年間の医療費が大幅に削減されたというデータも出ています。
 三川しんあい園でアニマルセラピーを開始する前には、利用者にアンケートを取り、施設として安全に実施できるよう検討してから始めました。
 犬が苦手だった人も、今では「笑顔クラブ」の時間を心待ちにするようになっています。シェラとナミの名前を覚えて、毎月楽しみにしてくれている認知症の高齢者もいます。普段あまり話さない人も、犬たちには話し掛けます。


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