医療・介護・健康領域の専門家によるウェルネス応援サイト【新潟日報|ささえ〜る

認知症の初期症状と対応

[第1回]

医療法人 新成医会 総合リハビリテーションセンター・みどり病院 認知症疾患医療センター長 成瀬 聡 院長

2015年11月1日

認知症を遅らせる、早期発見

認知症は、早期発見によって症状の進行を遅らせたり、一部改善が可能な病気です。少しずつですが理解も進み、4~5年前に比べ、全体的に早い段階での受診が増えてきています。病院を訪れるきっかけとなる初期症状のサインとしては、食事した事は覚えているけれど、何を食べたか思い出せないなど一部を忘れる物忘れと違い、人に会った事を忘れてしまうなど、記憶がすっぽりと抜け落ちる事があれば、すぐにかかりつけの医者に診てもらった方が良いでしょう。以前に比べ、初期症状での受診が増えたとは言っても、まだまだ重症化してからの受診が多いのが現状です。みどり病院では、受診する方の1割は正常で、2割が予備軍、7割が認知症で、この7割の患者さんが少しでも早い時期に受診してもらえるように取り組んでいます。「認知症になったらおしまいだ」と思い込み、なかなか病院に行きたがらない雰囲気は今もあるようですが、認知症は必ず進行するものではないという理解を深め、早めの受診を実現させていきたいと思います。


予防と初期症状の対応

糖尿病、高コレステロール、高血圧、喫煙、肥満など生活習慣病すべてを治せば、認知症患者は約4割は減ると言う報告があるほど、生活習慣病との関連性が高いのが認知症です。日頃から食生活や規則正しい生活を心がけると共に、一番効果的なのは軽い運動の習慣をつけることです。

認知症の初期段階は、周囲の対応次第でその後の症状に違いが出てしまう、最も大切な時期です。家族など周囲が受け入れる事が何より大切で、間違った行動や発言に対して注意したり、怒ったりすれば、ストレスが重なり、暴力や暴言、徘徊など行動・心理症状(BPSD)へと、やがて強い薬の服用や精神病院への入院になってしまいます。




認知症患者の居場所

現在の介護保険では、重症な患者さんは認定を受けサービスを利用できますが、比較的軽い初期症状の患者さんは介護認定が受けられないために、人と接し、手厚いケアが必要な時期に、居場所がないのが現状です。新潟市では「茶の間」と呼ぶ、誰でも利用できる空間でお茶を飲みながら過ごすという事業を行っていますが、当院でも患者さんや家族に対し「認知症カフェ」という、一般の人も利用できる交流の場を設けています。専門スタッフが待機し、美味しいコーヒーを飲みながら相談も出来る自由な空間です。今後、介護保険制度の改正により市町村が展開する新総合事業では、バリエーションを持ったこういった施設を増やして「居場所を作って」いかなければならないと思います。また、認知症には子どもと接すると非常に良い効果が期待できるため、核家族化が進んだ現代でも、地域で継続的に交流できる機会や場所があっても良いと思います。


認知症を理解するための施策

認知症の予防と初期症状への対応には、周囲の理解が必要とお話ししました。引き続き、厚労相の進めるオレンジプランに沿って認知症とそのケアについて正確な知識を伝える取り組みを行っていかなければなりません。特に、小学生のうちから「認知症ケアサポーター養成講座」を受けることで、家族に理解が進み、対応間違いによる、暴力や暴言などの行動・心理症状(BPSD)の予防に繋がります。認知症は他の病気と違って、唯一、福祉・医療・行政の異職種間連携が必要な病気です。2025年に65歳以上の高齢者が4~5割となることを考えると、早急な対応が必要ですが、3年前に比べて確実に進歩している現状を見れば、出来ないことではないと思っています。新潟市では、情報の統一化と共有を目指し、認知症ケアパスづくりを開始しました。かかりつけ医を持つ事を推奨する一方、認知症専門の相談員と連携しながら、開業医への理解を求め、確実なシステム構築を目指しているところです。

みんなのコメント

0

この記事に関するみなさんのご意見をお寄せください。
なお、投稿されたコメントは管理者の承認の後に掲載されます。 悪意ある投稿・誹謗中傷、営業目的などのコメントの掲載は 承認されないことがございますので予めご了承ください。

新しいコメントを投稿する

お名前
タイトル
コメント
1000文字以内で入力してください。
認証

投稿されたコメント 0

コメントはありません

関連キーワード