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「オレンジの輪」おとなプラスシリーズⅠ(第2土曜日) 認知症・思いやりのケア

記憶消えても残る感情 言動否定せず理解、傾聴

2017年9月11日

おとなプラスシリーズⅠ

新潟・認知症啓発キャンペーン

認知症・思いやりのケア②


記憶消えても残る感情

言動否定せず理解、傾聴



 認知症の初期に出てくる症状で一番多いのは、記憶障害です。「近時記憶障害」と呼びますが、数分前から数日前といった最近のできごとを忘れるようになるのが特徴です。記憶はまず脳の「럀海馬(かいば)」という場所で形成されますが、アルツハイマー型認知症になると海馬が侵されるため、近い記憶が落ちてくるのです。昔の記憶は頭の中全体に保存されているため、初期の頃にはあまり落ちません。

 記憶障害の次に出てくる症状が、「見当識障害」といわれる症状です。見当識とは、時間、場所、人物についての認識です。認知症になると、今は何月何日の何時頃で、自分がいる場所がどこで、目の前にいる人は誰かなどが分からなくなってきます。

 初期の具体的な症状としては、何度も同じことを言ったり、聞いたりすることが目立ってきます。保険証や通帳を何度もなくし再発行しなくてはいけないという方も多くいます。何度も新聞やカレンダーで日時を確認する、鍋を焦がす―なども症状の現れです。

 こうした時に、どう対応したらいいのでしょうか。一番大事なことは、「認知症の人の世界で物事を考える」という姿勢です。まず、本人の気持ちになってみましょう。

 認知症が進行すると本人は、その自覚が徐々に薄れていくのですが、初期にはなんとなく自覚があります。以前と比べて物事がうまくいかないという不安感や、昔は何でもできたのにおかしいという焦り、台所仕事を制限されて家族の心も離れていくように感じる寂しさなどが、漠然と本人にのしかかってきます。

 そうなるとある人は、それを否定するように怒りっぽくなり、またある人は自信を失って元気がなくなり、引っ込み思案になることがあります。

 認知症の人は記憶が断片化されています。断片化されたいろいろな記憶が間違ってくっついてしまうため、事実ではないことを本当にあったことと思いこんで話をしてしまいます(これを「作話」といいます)。

 自分では本当のことだと思って話しているのに、「何、うそを言っているの!そんなことある訳ない!」と周りから否定されたらどうでしょうか。言いがかりをつけられている気持ちになりますよね。

 それが度重なるとイライラが募り、「この人は自分の敵だ」と思う心が芽生えてしまいます。そうなると相手に対して攻撃的になったり、介護を拒否したりと反発します。認知症の人は記憶が薄れても、感情は変わらず残っているのです。周りの人は間違いを直したり、本人の言うことを頭から否定したりせず、認知症の人の世界を理解し、傾聴していくことが必要です。


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