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「オレンジの輪」おとなプラスシリーズⅠ(第2土曜日) 認知症・思いやりのケア

嫉妬妄想への対処 共に行動、不安和らげて

2017年11月13日

おとなプラスシリーズⅠ

新潟・認知症啓発キャンペーン

認知症・思いやりのケア④


嫉妬妄想への対処

共に行動、不安和らげて


 前回はアルツハイマー型認知症に最も多く認められる、「もの盗(と)られとられ妄想」について書きました。そもそも「妄想(もうそう)」とは、どのような症状をいうのでしょうか?「妄想」は実際には、起こりえないことを真実だと思い込み、それを他人が修正しようとしても修正できない考えのことをいいます。

 アルツハイマー型認知症でその他に多いのが、「嫉妬妄想」です。アルツハイマー型認知症を最初に報告したのはドイツのアルツハイマー博士ですが、博士が診断した初老期女性の症例にも「嫉妬妄想」があったと記載されています。嫉妬のために妻を殺害したシェイクスピアの戯曲の主人公オセロと関連づけて、「オセロ症候群」とも呼ばれることもあります。

 これは、配偶者が浮気をしていると思い込む妄想です。執拗(しつよう)に配偶者を責めたり、証拠を探すような行動をしたりします。また、自分のものを相手のところに持っていっているという妄想になることもあります。知人と談笑したり、金融機関の窓口でやり取りしたりするだけで、相手の女性に関心があると非難することさえあります。

 比較的認知症の症状が軽いアルツハイマー型認知症の女性で、受診のたび「私の留守中に夫が女性を部屋に連れ込んでいる」と訴える患者がいました。実際にはもちろんそんなことはありません。しかし、本人が確信を持って話しますから、付き添った娘さんも最初は信じてしまったと言うほどでした。この妄想が出ると、配偶者は大変疲弊します。

 妄想の根底にあるのは、「自分は心身ともに衰えた」という感情です。このように衰えた自分を配偶者が見捨てるのではないか、そんな不安感が嫉妬妄想につながると考えられています。

 対処するうえで大事なのは本人の不安感、疎外感を共有する気持ちを持つことです。「そんなことがあるはずない」と冷たくあしらったり、「何、ばかなことを言ってるんだ」と怒ったりすると、ますます嫉妬妄想は強くなります。

 まずは本人に寄り添い、行動を共にして、不安を和らげることが肝心です。毎日一緒に散歩するのもいいでしょう。外出時はしっかり本人に伝えて、場合によっては紙に書いて安心させるのもよいと思います。どこまで本人に共感できるかが、この妄想に対するケアの重要なポイントです。

 ただし、実際に家族として関わっていると、うまく行かないことは多々あるでしょう。正解がないのも認知症ケアの特徴です。嫉妬妄想はそんなに長くは続きません。あまり考えすぎずに、おおらかな気持ちで向き合ってみましょう。


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