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「オレンジの輪」おとなプラスシリーズⅠ(第2土曜日) 認知症・思いやりのケア

夕暮れ症候群への対処 焦らず不安和らげる

2018年1月22日

おとなプラスシリーズⅠ

新潟・認知症啓発キャンペーン

認知症・思いやりのケア⑥


夕暮れ症候群への対処

焦らず不安和らげる



 夕暮れが迫ると、自宅にいるにもかかわらず荷物を整理して、「これから家に帰ります」と言い出す認知症の人がたくさんいます。突然言われた家族は驚きます。「何言っているの。ここがあなたの家でしょう」と説明しても本人は納得しません。家族はだんだんイライラして、細かい証拠を示しながら説明しますが、納得してもらえずついつい大声を出してしまいます。

 このほか、夕方になると興奮する、イライラする、勝手に外に出てしまう―などの症状もあり、「夕暮れ症候群」と呼ばれます。

 基本的には、記憶が悪くなり、時間や場所がよく分からなくなる(見当識障害といいます)といった認知症の症状が根底にあるのです。「家に帰りたい」と言う人の多くは、今暮らす家ではなく、生まれ育った実家をイメージしていることが多いようです。

 誰でも外が暗くなる夕方、なんとなく寂しくなることはありますよね。認知症の人の場合はより不安になり、周りの人たちが忙しくなって本人の相手ができなくなる事態も拍車を掛け、「自分ももう帰らないと」という気持ちになります。

 では、どう対処したら良いでしょうか。一番いけないのが、「そんなはずがない」「バカなことを言うな」などと全否定すること。認知症の人は否定されると混乱し、さらに暴言や暴力、徘徊(はいかい)などにつながってしまいます。

 鍵を掛けて出られないようにするのもよくありません。ある外来の認知症の人は、家族が外鍵を掛けたら、混乱して窓から外に出ようとして転落してしまいました。夕暮れ症候群が起こっている時の認知症の人は、不安感が強くなっていますから、安心感を与えることが最も必要なのです。

 「お茶でもいかがですか」と茶菓子を出して世間話をしていると、そのまま「帰りたい」と言ったことを忘れることもあります。一緒に外に出て散歩をしたり、ドライブしたりするのも効果的です。「今日はもう遅いので一晩泊まっていってください」と言うと落ち着くこともあります。

 重要なのは、本人に寄り添うことです。相手が自分のことを考えてくれると思うと、自然と気分は落ち着いてくるもの。すると「家に帰る」と言ったことも忘れ、何事もなかったかのように普段の生活に戻ることができるのです。

 認知症の人に夕暮れ症候群の症状が出たら、周りの人は焦らず、イライラせず、余裕をもってゆっくりと話を聞く姿勢が大事です。もちろん、忙しくてそんな余裕はない人が大部分でしょう。それでも基本だけ押さえて認知症の人と接すると、きっと本人も安心されることと思います。



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