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「オレンジの輪」おとなプラスシリーズⅠ(第2土曜日) 認知症・思いやりのケア

幻覚への対処 否定せずに不安取り除く

新潟日報

2018年7月14日

おとなプラスシリーズⅠ

新潟・認知症啓発キャンペーン

認知症・思いやりのケア⑪


幻覚への対処

否定せずに不安取り除く

 認知症の人の行動・心理症状で代表的なのが「幻覚」です。実際には存在しないものが見える「幻視」のほか、「幻聴」「幻触」「幻味(げんみ)」「幻嗅(げんきゅう)」などがあります。五感はにおいや味、音といった外部からの刺激を察知し私たちの脳に伝えますが、何もないのに感じてしまう症状を総称し、幻覚というのです。
 幻覚のうち圧倒的に多いのが幻視と幻聴です。特にレビー小体型では、「何となく気配を感じる」のではなく、そこにはいるはずのない人や小動物、虫などが繰り返し、しかもはっきりと見えます。時には何もない空間を指し「家の中に知らない人がいる」などと訴えることもあります。
 アルツハイマー型も重症化にともない、幻覚が出ることもありますが、レビー小体型は、早期の段階で症状が現れるのが大きな特徴です。言い換えれば、そのような症状があれば、専門医はレビー小体型を疑います。
 認知症の人にとって幻覚は大きなストレスの原因となります。認知症の種類によって、対処方法は少し異なり、注意が必要です。
 レビー小体型は、本人が「今見えているものは幻覚だ」と認識していることがあります。まずは、それが幻覚であり心配ないこと、原因は脳の過敏反応にあることを、きちんと伝えてください。それだけで本人は安心します。また、治療薬である「アリセプト」を使うことで、症状の改善につながります。
 一方、アルツハイマー型は、病状の悪化につれ幻覚が現れるため、介護する家族はどうしても不安に思い、戸惑ってしまいます。「そんなものはいない」「単なる気のせいだ」と強く否定しても本人は決して納得してくれず、かえって混乱させてしまいます。
 以前、取り上げた「妄想」と同様、本人の話を否定せず、じっと耳を傾けることが大切です。例えば、人が見えているなら、「遅い時間なので、もう家に帰ったみたいですよ」などとさりげなく伝えてください。その一言で不安をぬぐいさり、落ち着かせます。
 レビー小体型、アルツハイマー型ともに、幻覚症状が重い場合、薬物治療が効果的です。ただ、認知症以外の薬の中には、幻覚を引き起こす種類もあります。症状が出た時点で、それが薬の副作用なのか、それとも認知症のせいなのか見極めてください。専門医、かかりつけ医によく相談することが重要です。
 いずれにせよ、幻覚症状が出た時、家族は驚いたり焦ったりせず、まずはその状況を受け入れ、本人を安心させることが最も大切です。「本人が気にせず、他人に迷惑をかけない限り治療する必要はない」と思えば、介護者にとっても気持ちが楽になるでしょう。


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