おとなプラスシリーズⅡ
認知症・ともに歩こう①
認知症の人と家族の会県支部長岡地区(長岡市)
オレンジカフェ拡大
気軽な集い、スタバでも
スターバックスコーヒーCoCoLo長岡店でのオレンジカフェ。オープンな場での会話が気分転換につながる=7月下旬、長岡市城内町1
JR長岡駅1階にある、大手コーヒーチェーン「スターバックスコーヒーCoCoLo長岡店」。そのオープンスペースで7月下旬の平日、ドリップコーヒーや抹茶ドーナツ片手に談笑する人たちがいた。認知症の人と家族の会県支部長岡地区(長岡市)が開いた「オレンジカフェ」。認知症支援のマスコット、オレンジ色のロバが目印に置いてあるだけだ。
認知症の本人や家族、専門職だけでなく関心のある人なら誰でも参加・交流でき、全国的には認知症カフェの呼称が一般的だ。長岡市は2015年から、社会福祉法人などに業務を委託。この7月には新たに8カ所増やし市内全域15カ所に拡大した。それぞれが本人向けのリハビリテーションやレクリエーションなど特色ある活動をしている。
同会長岡地区はスタバとさいわいプラザ(同市幸町2)、市社会福祉センタートモシア(同市表町2)で月1回ずつ開いている。今春からスタバでのカフェに通い始めた吉岡辰一さん(80)は、「スタバが何かも知らなかったが、人が通る街中で好きなものを飲み食べできる雰囲気がいい」と穏やかに語る。
辰一さんは毎年こなしていた確定申告が急にできなくなったことがきっかけで、軽い認知症と診断された。日課の散歩は欠かさないが、着る服は順番に並べてもらうようになった。少し離れて座った妻のヨシ子さん(71)は「雑談で話が弾みリラックスできる。施設のカフェより通うハードルが低い」という。
認知症と診断されて9年の妻(77)を伴った男性(83)は同会のカフェ3カ所に通う常連だ。「2人きりだと世間が狭くなってくる。家内は家に帰れば忘れてしまうが、お出掛け気分で私以外の人とのおしゃべりを楽しんで心が休まるようだ」。自身も気晴らしになるという。
同会は今年、夕方から居酒屋でくつろぐ「オレンジ・バル・家族の会」も始め、次回は9月に予定する。5人いる世話人の1人で社会福祉士の神保みゆきさん(66)は「介護の悩み相談や情報交換を通じた交流、仲間作りが安心感や心強さにつながる。抱え込まずに話し、リフレッシュしてほしい」と語った。
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