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「オレンジの輪」おとなプラスシリーズⅡ(第3土曜日) 認知症・ともに歩こう

稲作通し認知症ケア

2017年10月23日

おとなプラスシリーズⅡ

認知症・ともに歩こう③

稲作通し認知症ケア


認知症の人の社会参加を促す稲作ケア。ボランティアらと手作業で稲を刈り、汗を流した=9月下旬、上越市北新保

 鎌で手刈りされた稲の束を受け取り、くるりと一回転させて緩みなく結束する。手際の良さにボランティアから「うまい、すごすぎる」と驚かれた認知症の男性(73)は、「子どもの頃に見よう見まねで覚えたから、自然に手足が動くんだよね」と顔をほころばせた。

 認知機能障害がある人の社会参加を促すため、川室記念病院(上越市北新保)が昨年から東京都健康長寿医療センター研究所の研究員と取り組んでいる稲作ケア。入院患者やグループホーム利用者ら人余りが毎週火曜日、田植えや草取り、野菜栽培などの農作業を続けてきた。

 病院近くの田んぼや畑に通ううちに、抑うつ的だった人の表情が明るくなったり、よくおしゃべりするようになったり。病院や施設にいるときより積極的になるという。

 食育について学び、ボランティアで参加する上越教育大学大学院3年の北條真菜さん(25)も、高齢者の変化に驚いた一人だ。「人との関わりや笑顔が増えた。太陽の光を浴び風を感じての共同作業はすごく意味がある」と実感した。

 この日は30人ほどが約1時間、稲刈りやはさ掛けに汗を流し、お茶を一服。口々に「昔を思い出して懐かしかった」「大勢でやるのはいいもんだ」と充実感を漂わせた。

 「稲作はやはり新潟の共通文化だ。どんどん主体性が出てきた」とケアの効果を語るのは同研究所の岡村毅研究員(40)。同病院の非常勤医も務める。認知症の人は分からなくなったという自覚から自信を失いがちだと指摘し、「できなくなったことに目を向けるのではなく、経験の強みを生かす方がいい」と強調した。

 10月末には病院の収穫祭で、収穫した大根やサツマイモ、ネギを入れた豚汁、コシヒカリのおにぎりを味わう予定だ。

 同病院の川室優理事長・院長(71)は「認知症は記憶障害、もの忘れが基本の症状だが、感情は豊かに残っている。自然の力を借りて助け合うことで、親和的な感情を引き出したい」と話した。



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