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「オレンジの輪」おとなプラスシリーズⅡ(第3土曜日) 認知症・ともに歩こう

早川美代子さん(新潟市東区石山3)

2018年1月22日

おとなプラスシリーズⅡ

認知症・ともに歩こう

夫の介護を絵日記に

喜怒哀楽語り、喪失感整理


燕市認知症支援セミナーで講演する早川さん(右)と岩﨑さん=昨年12月下旬、同市水道町1の同市中央公民館


 明かりを消した和室のスクリーンに、認知症の夫との日々を記録した色鉛筆書きの絵日記が映し出された。

 うつろな夫を背後から抱えた絵に添えた「パパだいすきだよって言ってみる。だんだん反応がなくなるよ」の文字。聞き手に「愛してたんでしょうね」と問われた作者は、間髪入れず「愛してなんかいませんよっ」と照れ隠し。掛け合い漫才のようなやりとりに、参加者が思わず吹き出した。

 昨年12月下旬、燕市が同市中央公民館で開いた認知症支援セミナー。絵日記は早川美代子さん(72)=新潟市東区石山3=が2016年秋に亡くなった夫の雅夫さん=享年76=を介護した3年8カ月間、ノート15冊につづったものだ。講演のため抽出した78枚には、その時々の飾らない喜怒哀楽が表れていた。

 認知症カフェに持参されたノートを一読して強く引き込まれた認知症介護指導者の岩﨑典子さん(52)=同市西蒲区松野尾=が、介護家族の心情を医療や福祉の専門職、同じ境遇の人らに伝えようと美代子さんを口説き、昨秋から講演活動を始めた。

 日記には「夜4回起きた。2時間おきに毎日だと大変だなあ」「早く死んでと考えている自分に嫌気が来る」「明日は結婚記念日、50年だよ。いつまで私苦労するんだ?生まれ変わったらお父さんと結婚しない」。雅夫さんににこにこ笑いかけながら、時によぎる絶望感を記した日があった。

 その後には「優しくできなくてだめな私」の修行僧姿や、「私が頑張らなくては。いつやるの?今でしょう」と笑顔で腕まくりする自画像も描いた。

 一枚一枚、当時の思いを振り返る美代子さんの声がしばしば涙で詰まる。岩﨑さんが「本音をどこかで出すことがあっていいと思うんですね。張り詰めた気持ちだけだと大変だから」と言葉をつなぐと会場のそこここですすり泣く声が漏れた。

 講演の後、「美代子さんはみとり終えた今でもあの介護で良かったかと悔やむことがある。話をすることで喪失感も整理できるのでは」と岩﨑さん。美代子さんは「こんな話が誰かの役に立つのなら」と目尻を拭った。



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