おとなプラスシリーズⅡ
認知症・ともに歩こう⑱
認知症サポーターオレンジの会(胎内市)
市民主体支える場に
カフェや寸劇笑顔広がる
伝統のだんご木飾りに取り組む「虹色カフェたいない」の参加者=1月下旬、胎内市西本町のほっとHOT・中条
認知症の正しい知識を持ち、本人と家族を手助けする「認知症サポーター」。胎内市の市民でつくる「認知症サポーターオレンジの会」は、講座の修了生を中心に2012年に発足した。
サポーターは全国で増え続けているが、修了後の活動は限られている。同市認知症地域支援推進員、柳沼裕子さん(46)は、「サポーターとなった市民が主体となり、地域の高齢者を支える場所がほしかった」と振り返る。
手始めに取り組んだのは「認知症ガイドブック」の制作だった。認知症の人への接し方などを紹介する項目では、メンバーの手書きのイラストを添えるなど、分かりやすく伝えるよう心掛けた。
現在の会員は約60人。「サポーター養成講座」、認知症をテーマにした寸劇を披露する「オレンジほっぺ♡」、地域の当事者や高齢者らが集う「虹色カフェたいない」の三つの事業を柱に、活動を展開している。
このうち、虹色カフェたいないは14年10月にスタート。保健福祉施設「ほっとHOT・中条」(同市西本町)で月1回、開催している。お花見や七夕飾りなど季節ごとのイベントを織り交ぜ、和やかな時間を過ごす。
1月下旬に行われたカフェには、福祉施設の職員や当事者を含め約30人が集まり、小正月行事の「だんご木飾り」に取り組んだ。
「子どものころよくやったので懐かしい。毎回、ここに来るのが楽しみ」と市内のグループホームで暮らす石井秀雄さん(82)。餅に見立てた色とりどりのスポンジをミズキの木に刺しながら、リラックスした表情を浮かべた。
会のメンバーであり、認知症の当事者でもある市内の長谷川マサさん(78)はこの日、「お客」としてカフェに足を運んだ。「自宅では日中、1人で過ごすが、ここなら話し相手がたくさんいる」とほほ笑む。寸劇チームの一員として活動することが、「元気の源」になっているという。
大沼雅俊会長(68)は、「会員が将来、認知症になっても、この会があれば安心できる。活動を続けることが大事」と語った。
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