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介護負担軽減に福祉用具は不可欠

[第11回]

新潟県県介護福祉士会会長/特別養護老人ホームこうめの里園長 宮崎 則男さん

2016年9月27日

「価値観の転換」大切に

福祉用具を上手に活用することで介護者の負担が随分と軽くなります。しかし、介護者は新しいものになかなか手を出しにくいものです。私たちも携帯電話をガラケーからスマートフォンに変更する時に、ちょっとした勇気がいることと同じです。「うまく使いこなせるかな」と不安になるのです。介護の情報が少ない家族にとっては、今のままで良いと思う方が多いと思います。長く介護を続けるためにはどのようにしたら良いのか、言ってみれば「価値観を変える」ことが大切なのです。

 私たちは使い方がわからないものや活用のイメージがわかないものには必要性を感じないものです。私の母親もそうですが、「福祉用具に頼りたくない」「面倒くさい」「使い方がわからない」などと言って、なかなか受け入れてもらえません。杖を使うことを勧めても「杖につまずきそうだ」、シルバーカーを勧めても「あれは、使いたくない」「見た目が悪い」と両手を膝にあてて歩いています。ベッドは「落ちそうで心配だ」と話します。高齢者の生活スタイルを変更することはマニュアル通りに行かないことが多いのです。

「使い勝手」の実感を

 介護者は福祉用具の利点をきちんと理解し、実際に福祉用具を手に取ってみましょう。重さや質感はカタログでは分かりません。使ってみたら、サイズが合わなかったという声も耳にします。使い勝手の良さを確認しましょう。

例えば、介護ベッドは介護される方を移動する負担を軽くして腰痛を予防できる点や、ベッドの高さが調整できて身体の負担を軽減することができます。シーツ交換も楽に行うことができます。布団から要介護者を立ち上がらせることはプロの私たちでも容易なことではありません。日々の介護で身体が悲鳴を上げてしまい腰や膝、肩を痛めてしまいます。老々介護で介護される方を起こすことが出来ない場合は、布団で寝たまま食事をすることになり誤嚥の危険があります。また、床ずれの原因になる可能性もあります。

心に余裕、自立支援にも

 介護者が安定した姿勢で介護することは、心の余裕に繋がり、介護時間の短縮にもなります。介護される方が力まかせの介護を受けていては、起きることが嫌になる場合もあるかもしれません。介護者と介護される方双方の身体だけでなく心の負担も軽くさせてくれます。また、ベッドのサイドレールを使用することによって、ベッド上で安定した姿勢を保ち衣類の着替えもスムーズに行うことができ、介護される方の自立支援に繋がります。

 手すりや杖を有効に使うことも大切です。階段に手すりをつけることで上り下りが楽になり、膝の痛みの軽減にもなります。狭いトイレでは、介護者が介助しにくい場合があります。手すりをつけることによって、立ち上がりが容易になり、介護される方が楽になります。トイレでは、ズボンやパンツの上げ下げやお尻を拭くなど身体が不安定な状態で介護をしなければならないことがあるため、手すりを設置することで少しでも安定した姿勢で介護することをお勧めします。介護ベッドや手すりを使うことで、要介護者の自分で行うことの可能性が広がっていきますし、転倒する危険も小さくできます。昔から準備をきちんとしておきなさいという意味で「転ばぬ先の杖」ということわざがあります。転んでから、杖を使っても遅いということです。先人の言葉を大切にしたいものですね。


【介助に便利な福祉用具】

[食事]

〇曲がるスプーン・フォーク

 …持ちやすい太いハンドル。金属部分の柄と首が曲げられるので、介助者の食べやすい角度に微調整できます。

〇口当たりの良いスプーン・フォーク

…口に入れてもひんやりしないシリコンゴム製で、金属の冷たさ硬さが苦手な方に適します。食事介助をする方にも、すくいやすくて安全に口元に運べるので安心感があります。

〇握力が小さくても使える箸

 …トング状になっていて、軽く握るだけで挟みやすくなっています。


[入浴]

〇手すり

 …浴槽のへりに固定して使用するものや浴槽内で使えるもの、壁面に取り付けるL字型・I型など様々な形状があります。

〇シャワーチェア

 …身体・髪を洗う時に便利な、滑りにくい浴室用の椅子です。肘かけ付き、座面回転、背もたれ、穴あき、折り畳みなどの種類があります。

〇バスボード

 …浴槽に設置して、出入りを補助します。手すりと組み合わせ、安全に使用すると共に、軽い素材で作られているものが多く、介助者の使いやすさも考えられています。

浴槽のヘリに設置し座面が回転するタイプもあります。

〇浴槽台

 …自分の足で浴槽をまたげる方に、浴槽の外、内側に設置して段差を低くする台があります。ぐらつかないように手すりを併用します。

〇バスマット

 …濡れて滑りやすくなる床面をカバーします。また浴槽内に入れて、体が滑らないようにする役割もあります。浴室内のひんやり感も緩和します。

〇シャワーキャリー

 …シャワーチェアにキャスターが付いているので、浴室と脱衣所の行き来が楽になります。

[寝室・リビング]

〇移動用マット

 …ベッドの上で身体を動かす時に敷くと、滑りやすく体が動かしやすくなります。

〇移乗サポートボード

 …立ち上がる時など、腰やお尻に添えて少ない力で移乗を助けます。

◎上記以外にも様々な介助サポート用具があります。介護用品の専門店では介護保険を利用したレンタルや販売も行っています。地域包括支援センターや保健課の窓口に相談して、介護者・介助者に合った用具を見つけましょう。

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