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新潟市南区の多職種連携を考える

[第4回] 新潟市南区 座談会

南区保健医療福祉のつながりを深める会 議題作成委員の皆さん

2016年2月1日


誰もが住み慣れた地域で長く暮らせることを目指す、地域包括ケアシステムの実現には、介護福祉・医療・行政の連携が不可欠であり、新潟県内の多くの地域で試行錯誤しているところです。早くから連携の必要性に気づき、ネットワークを構築してきた「南区保健医療福祉のつながりを深める会」の中の議題作成委員会の皆さんに、南区の多職種連携への取り組みについて伺いました。
「住み慣れた地域で暮らす住民のために」という目的を同じにしたメンバーは、頼りがいある各分野のプロフェッショナルですが、堅苦しさはまったくありません。日頃から顔を合わせ、よく話しあっている気心の知れたチームということが伝わってきます。


─ 関根さんは、行政の立場から他の地区とも関わりがある中で、南区をどう見ていらっしゃいますか。

(関根さん)「各地域で活動するネットワークが、起ち上げの経緯や目的,構成がそれぞれ異なりますが、医療と福祉介護の連携として、今のところ大半は専門職の方々の集まりで研修会、勉強会なども医療・介護関係者を対象にしているところが多いですね。南区の場合は早い頃から、地域住民をより近くで支えているといえる民生委員の方も積極的に会に呼びかけているので、その辺りが特色じゃないかなと思います」。


─ 佐藤さんの発案で、民生委員さんが参加することになったということですが、どういったところで思われたのですか。

(佐藤さん)「住民の方が、私たち地域包括支援センターに相談する際、民生委員さんから繋いでもらうケースが多いことに気づきました。地域のキーマンになっているのが民生委員さんたちです。その民生委員さんたちが地域の専門職の方たちとお会い出来る機会や、知識や情報も得られる場として参加してもらった方が良いのではないかと思い、提案させてもらいました」

(関根さん)「サービスを受ける住民の方に近い視点があれば、議論はより深みが増すとは思います」。

(坂詰さん)「たぶんネットワークの構成メンバーに地域包括支援センターのスタッフが、“ぐいっ”と入っているか入ってないかじゃないかなって思います。医療関係だけの集まりだと接点がないですから」。

(池田さん)「新潟市内の77地区で、1,375人の民生委員児童委員が活動しています。その方たちが、担当地区内の一人暮らしの高齢者世帯などを定期的にお声かけしています。そのお声かけしている方に関わる専門職の方を民生委員さんが知っていれば、具合が悪い時など専門職の方に連絡をとって、協力してもらう事もできるので、やはり専門職の人たちと繋がるというのは、民生委員さんたちの活動にとってもプラスになると思います」。


─ より住民に近い存在の民生委員さんたちの参加が、南区の多職種連携の特色ということですね。その他、医療面でも恵まれた環境にあると聞きましたが。

(坂詰さん)「私が働く新潟白根総合病院(旧白根健生病院)自体が、この地域で古くからある病院で、ここから巣立っていった先生たちがこの地域で在宅診療をやっている方が多いので、そういう意味では恵まれているのでしょうか」。

(相田さん)「今年度、南区の特色ある区づくり事業で在宅医療の冊子を発行するのですが、その冊子に医療機関の名簿を載せ往診可能かも分かるような名簿を作りたいと思っていました。南区では,すでにこのネットワークで調査した名簿があり、その名簿をベースに医師会18班から作成してもらいました。医師会18班へお願いをするときも、「いいですよ」と気軽に引き受けていただき、南区の先生方は、『訪問診療しています』と抵抗なく表明してくれる先生が多いように感じています。

この「南区保健医療福祉のつながりを深める会実行委員会」では新潟県医師会副会長の吉沢浩志先生が深く関わり、地域包括ケアシステムの要である在宅医療を積極的に進めています。発足当初の勉強会では、疾病にまつわる情報が多かったため、地域住民の知りたい情報や困っていることとのズレがありました。住民が本当に望んでいる事を知るために、職種に関係なく忌憚のない意見や情報の交換が活発に行われているのも、この実行委員会の大きな特徴といえるようです。



─ 「深める会実行委員会」の良さはどこにありますか。

(池田さん)「実は異動前、この南区で『仕事をしてみたい』と長い間、思っていたんですね。なぜかというと、南区は医師をはじめとした専門職の先生たち以外にも多くの職種の方たちとの繋がりがあることが見えていましたので──。人口規模としては新潟市で一番小さい南区ですが、だからこそのプラスもあって、人と人とがこんなにまとまれるというのはとても魅力ですね。ここだったら、(目指すものが実現できる)という思いは常にあります」。

(相田さん)「私は、もともと旧白根市採用の職員で、東区に異動になって再び戻ってきたのですが、こちらの関係する専門職の人たちはかなり変わっていましたが、あっという間に顔見知りになれて、すぐに色々な方たちに相談することができるようになりました。地元だからというのもあると思いますが、人と人とがこんなに短期間で繋がれるのは特徴的かもしれませんね」。

(坂詰さん)「そう、とっても仕事がしやすいんです。つまりそれは、支援しやすい、応援しやすいということですよね。区外から来たからこそわかることがたくさんあって、こういう仕組みのネットワークがあることが、仕事に本当に役に立つと思うんです」。

(渡邊さん)「このネットワークの中で知り得た知識や情報を、他の関係者に伝えただけで、それを参考にアクションを起こす人も現れたりして、実は南区完結じゃなく、他の地域の方たちへの影響もあることを経験します。そんなところも、この会の魅力ではないかと実感しています」。

(佐藤さん)「ちょっとずつでも実行委員が増えていったり、やることも積み重なっていって、すごくいい所に参画させてもらっているのだなあというのはあります。ここは、顔を知る機会というのが大きいんじゃないかなと思うので、機会の提供という面でも続けていってほしいと思っています」。





─ 福祉介護と医療と行政の人材をつなぐ、地域住民と地域資源をつなぐなど、多職種連携の原点が凝縮していると感じるネットワークですが、今後、取り組むべき課題は何でしょう。

(坂詰さん)「医療介護だけでなくて障がい、児童、高齢者、その他もろもろをひっくるめて、地域で住む方たちをどうサポートでき、どうサポートできる場を作れるかってところが目指すところなのかなと思います。目の前の相談者だけじゃなく、相談者を支えるご家族や地域との関わりまでを働きかけるようなきっかけ作りをしたいですね」。

(関根さん)「個人的に期待するのは、このよう多職種連携の活動そのものが市内各地域で積極的に行われていることが市民に知られていないので、身近な専門職の方たちが、連携して熱心に話し合っているというのは、どんどん伝わっていったらなと思います」。

(渡邊さん)「区内地域包括支援センターは、活動を定期的に区だよりに掲載したり,新聞記事にして関係者に配ったり周知していますよ」。

(坂詰さん)「昨年の9月には新潟青陵大学の学生たちに、私たちの勉強会に参加してもらいました。10年後を考えた時、活躍するはずの現学生たちがこういう職業に就きたいと思ってもらえるような活動も大事だなって思います。人材育成ですよね。
だから私たちの『深める会』は、『勉強会』を通じて顔の見える関係つくりの場を設定するチームで、『深める会』の議題を検討するのが今日のメンバーです。ネットワークは、多層で運営していかないと、なかなかうまく回らないものかもしれません。他地域の良いところは取り入れ、私たちの良いところもどんどん真似してもらって、地域ごとに多職種連携がうまくいく方向へ向かって、地域住民のより良い支援に繋がればと思っています」。


お話を伺っている方たちからは、地域の皆さんが安心して暮らし続けることができる様にと願う意識の高さが伺え、仕事を超えた善意にあふれている。試行錯誤しながら築いてきた連携の強さは「支援する側同士と、支援する側と地域住民」両方の『顔の見えるつながり』を実現できる可能性を多いに感じさせてくれます。
お互いを尊重しながらも、何でも言い合えるという信頼関係から生まれるこのチームの取り組みは、来たる2025年超高齢者社会の問題への不安を少し和らげてくれるようでした。


─  座談会参加の皆さまのご紹介


白根保健生活協同組合 新潟白根総合病院

地域連携支援室主任/医療ソーシャルワーカー/認定社会福祉士(医療分野)

坂詰 明広 氏
(現在 新潟県医療ソーシャルワーカー協会 会長)

新潟白根総合病院 地域連携支援室に所属の医療ソーシャルワーカーです。医療ソーシャルワーカーは、退院支援という大きな柱がありますが、地域包括ケアシステムの流れの中では、ソーシャルワーカーも病院の中だけじゃなくて、地域に出て行って地域で暮らしている方々への支援も業務のおおきな柱にしなければいけないと最近強く感じていて、それがこの「深める会」の活動になっています。


社会福祉法人 新潟市社会福祉協議会 南区社会福祉協議会事務局長補佐

社会福祉士/介護支援専門員

池田 貴之 氏

南区社会福祉協議会の社会福祉士です。社会福祉協議会は、社会福祉法の109条によって、1市町村にひとつ設けられています。介護をはじめとした専門職の面と、住民の方々に納付いただいた会費や共同募金を財源に地域住民をはじめとした関係機関とともに地域福祉を推進するという面のふたつの特性があります。そのような特性から地区の民生児童委員の方とか福祉関係の方、住民である自治会長さんなど地域の方々と結びつきの強い組織だと思っております。また、ボランティア団体や市民活動等も応援させていただいています。


新潟市地域包括支援センター あじかた

保健師

佐藤 智亮 氏

新潟市地域包括支援センターあじかたで保健師をしています。地域包括支援センターは、新潟市内で27か所設置されている、地域の高齢者が何を相談してもいいよろず相談所です。保健師、社会福祉士、主介護支援専門員の3職種が協働し、総合相談、介護予防ケアマネジメント、権利擁護、ケアマネ支援などに従事しています。


新潟市南区役所 健康福祉課健康増進係 係長

相田 エミ 氏

所属は、南区役所の健康福祉課です。新潟市の保健師は、妊娠期も含めた赤ちゃんから、亡くなるまでの人の一生を家族単位でサポートし、地区を担当する部署と、子供の健診や大人の健診を事業として企画し、実施したりという、区の健康づくりを進める部署があり、私はそこで企画をしたり、健康づくり活動の調整などをしています。


新潟市南区役所健康福祉課高齢介護係 保健師

渡邊 千春 氏

南区役所健康福祉課高齢介護係に所属。健康福祉課は新潟市内各区役所に一つずつあり、その中の高齢介護係には一名ないし二名保健師がいて、そのうちの一人になります。委託先である地域包括支援センターへの支援が主な仕事になります。この会に参加させてもらうようになって、自分のすべきことがようやく見えるようになりました。色んな立場の人と情報交換しながら活動していければいいなと思って参加しています。


新潟市保健所 地域医療推進課 主査

関根 伴和 氏

救急医療、在宅医療、災害時における医療体制といった地域医療に関わる業務を担う新潟市保健所地域推進課所属。在宅医療・介護連携の推進を担当。新潟市は81万人都市で8区あり、地域の実情に応じた連携を進める新潟市内16の在宅医療ネットワーク団体に情報を提供しています。


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