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介護の前に心の備えを

【第7回】

新潟県県介護福祉士会会長/特別養護老人ホームこうめの里園長 宮崎 則男さん

2016年6月9日

追われる対応 退院すぐに

在宅介護は、ある日突然やってきます。退院と同時に住まいの環境や食事のこと、介護保険の申請など早急に対応するべきことがたくさん出てきます。対処しなければいけない情報が一挙にやってきて、生活のすべてを家庭内でサポートしなければいけない。「どうしよう、どうしよう」と不安に襲われるものです。

とりわけ肉親が認知症となった場合は、その変化を受け入れることにまず時間がかかります。長年寄り添って生きてきた歴史がありますよね。厳しく叱ってくれた父、おにぎりを作ってくれた母。普通に暮らしてきたはずなのに、生活上の色々な事が出来なくなってしまう。それを目の当たりにすると、ショックであり、認めたくない気持ちになってしまいます。

当事者の体験 いつか我が身に

しかし、人間には変化が起きるもので人生にまさかはつきものです。ですからそれを客観的に知っておく、心の準備をしておく必要があるのです。介護の本を一冊読んでおく、認知症ケアの講演会に出かけてみる。介護が必要になる前から、在宅介護や認知症について関心を寄せ、理解を深めておくとずいぶん違ってきます。とりわけ実際に介護をしている方や経験した方の話を聞くことは、いつか我が身に起こった時にとても役立ちます。当事者の生の声ほど強いものはありません。新潟県介護福祉士会でも一般の方が受講できる講座や講演会を開いていますので、参加してみてください。

介護はいつかくることと想定する中で、周囲の理解と協力の大切さを知ってほしいと思います。日ごろの兄弟姉妹との関係はどうでしょうか。別々に暮らしている中で希薄になっていて、その時にSOSがきちんと出せるでしょうか。介護と仕事との両立のためには職場の理解も欠かせません。少し前は介護など家庭の問題を職場で話せない雰囲気がありましたが、それではもちません。家族や友人、職場の同僚、地域の人たちに家庭の状況を理解してもらい、助けを借りながら対処していく時代になっています。社会は親切の貸し借りで成り立っています。色々な方と繋がっていなければ生きていけないということに早く気づいてもらえればと思います。介護に対する準備のきっかけとして、また、自分ひとりで抱えこまないで、多くの人の助けを借りながら在宅介護と向き合うためにも、体験者や専門職の話を聞いておくことをおすすめします。



事前見学で施設の見極めを

家族でも介護が必要になる前から話し合い、介護保険や施設、福祉用具を調べ、認知症について理解しておくことが大事です。地域包括支援センターや市役所で情報提供していますから、相談してください。在宅介護といっても、すべてを家庭内でみるという家庭は稀で、多くの方がデイサービスやショートステイを利用しています。近くにどんな施設があるか事前に調べ見学をしておくと慌てずにすみます。

良い施設を見極めるポイントは、まず窓口の人がきちんと説明できるかどうか。ケアの考え方や料金などを文書で示すなりして、家族ときちんとコミュニケーションをとれる、質問に丁寧に答えてくれるか見ましょう。また、施設見学した時に、食事、入浴、排せつの基本的な介護が適切に行われているかも大切な視点です。入浴介助、排泄介助のプライバシーが保たれているか。食事は、一人ひとり介助されているか。職員の言葉使いは適切か。楽しい行事の写真はたくさん掲示されているが、基本的な介護がおろそかであっては本末転倒です。例えばデイサービスで入浴介助を受ける利用者にしてみれば、お風呂にゆっくりと入れて良かったことと同時に、親しみやすい職員と出会えて良かったとなれば、元気になれるものです。コミュニケーションが行き届いた施設を選びたいですね。


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