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家族力を高めて介護にのぞむ

【第8回】

新潟県県介護福祉士会会長/特別養護老人ホームこうめの里園長 宮崎 則男さん

2016年6月24日

家族の輪ぎゅっと縮めて

要介護認定を受けたあとには、サービス担当者会議を開きます。事業者・ケアマネジャー・医師などと認定を受けた本人、家族が集まります。一人ひとりに合わせたケアプランを作成し説明し同意を得ます。同時に、介護を受ける方と介護をする方に対して、「このメンバーで家族を支えていきますので安心してください」と伝える場だと思っています。

また、家族力を高めるきっかけにもなればと思います。距離感のあった家族の輪をぎゅっと縮めてほしいのです。夫が倒れて在宅介護をすることになった場合、離れて暮らす娘や息子に月に一度でも手伝ってもらえないかと相談する、子どもたちが交代で母親を助ける、一緒にケアマネジャーと連絡を取り合うといったことです。家族や親族のみんなで支えようという意識があるだけで、要介護になってからの本人の人生もまた豊かなものになるのではないかと思うのです。

介護の動作一つずつ説明

家庭での介助の際に、まず心がけて頂きたいのが「コミュニケーションを図る」ということです。食事をする時には、「ご飯食べるから上半身起こすね」「滑らないように先に足の方を高くするね」「膝を曲げますよ」「具合悪くないですか」などと、一つひとつの動作をきちんと伝えてから介助することが大切です。

こちらは本人のためにと考えているつもりでも、介助される方には急な動きと感じられて驚かせてしまうのを防ぐためです。不安な気持ちが介助する人への不信感に繋がることもありますから気を付けましょう。動作を納得してもらってから行うことを心がけて、手をかけるよりも、まずは声をかけて下さい。

実際、突然介護して下さいと言われてすぐに行えるものではありません。100%の介護を求めなくても良いと思います。介護は、プロである私たちにお任せください。是非、時間や気持ちに余裕のある方は、介護研修の受講をお勧めします。いつ来るかわからないまさかに備えて基本的な知識はおさえておきましょう。高校生や大学生なども夏休みなどを利用して受講してみてください。新しい世界がひろがると思います。

身体に負担がかからない介護技術 5つのポイント

  • ベッド上の対象者を小さくまとめる(摩擦少なくする)
  • 介護者は膝を曲げて重心を下げ、骨盤を安定させる
  • 介護者は足先を動く方向に向ける
  • 動作介助するときは、大きな筋群を使い身体全体に一緒に動く
  • 手をかけるよりも、声を掛けて対象者の動きを誘導する


気力奪わず自尊心大切に

また、比較的体を動かせる要支援や要介護1の方の場合、日常生活で起きかねないケガに対して家族が必要以上に神経質になってしまうことがあります。庭の手入れを危ないからと止めていませんか。むしろ生活習慣は減らさない方が本人の気力低下を防げるのです。自転車や車の運転など家の外での事は別ですが、家庭内のことはできるだけ続けた方が本人の自立支援になります。何もさせないのは安全かもしれませんが、心のニーズが満たされるかどうかという点を考えてみてください。

現在介護されている方の多くは、戦後の苦しい時代を懸命に生きてきた世代です。例えばタンスの引き出しに父親から譲り受けた勲章を大切に持っていたり、金賞をもらった趣味の盆栽の手入れが生きがいだったり。それぞれに大事なものを持っているのです。何を心の拠りどころとしているのかを理解し、自尊心を大切にしなければなりません。自分の仕事だと思っていること、生活を奪わないよう環境づくりをすることがとても大切なのです。

転ばないように家具の配置を工夫する、手すりをつける、夜のトイレにも行きやすいようライトをつけるなど、動線を考えた住環境を整えましょう。出来ないとあきらめて寝たきりになるのを防ぎ、その人に合った生活支援の質を高めることができます。住環境については、福祉用具専門相談員や福祉住環境コーディネーターなどに相談すると良いですね。


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