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介護力アップちょっとずつ

[第9回]

新潟県県介護福祉士会会長/特別養護老人ホームこうめの里園長 宮崎 則男さん

2016年8月1日

「できない私」で大丈夫

在宅介護が始まると、頑張りすぎて疲れてしまうケースが少なくありません。例えば認知症になった肉親の状況変化をなかなか受け入れられないことや、十分に看てあげることのできないもどかしさから、親不孝だとかダメな息子、娘だと自分自身を責めて悩む方もいます。仕事から疲れて帰って、親の顔を見られないこともあるかもしれませんが、聖人君子じゃありませんから、それも仕方のないことです。介護に悩むことは状況の改善に向けて大事な面もありますが、自分を責める必要はまったくありません。まず「これでいいんだ」と自分を肯定してください。

悩みを言える仲間をつくることが助けになります。同じように感じている人がたくさんいることを知ると、心に余裕が生まれてきます。介護で苦しまないために、出来る事を少しずつ増やしていくような気持ちで、焦らずに向き合ってほしいと思います。

家族支える介護スタッフ

在宅介護は、家族だけではなく介護スタッフと連携して行うものです。最も関わることが多いホームヘルパーを頼ってください。「頑張りすぎないでいい、無理をしなくていいんですよ」と言ってくれるはずです。利用者とその家族に寄り添う介護のプロが「大丈夫ですよ。皆で支えていますよ」というあたたかい空気を入れると、介護する家族が変わる様子をみてきました。ホームヘルパーは、心の宅配便と言って良いと思います。

また、介護している方やその家庭に合った食事・入浴・排泄についてのノウハウも教えてくれます。「体を動かすのはゆっくりと、介助するときは腰を曲げないで膝を折って」とか。「介護する方が腰を痛めないようにベッドの高さを調節しましょう」、「サイドレールにもたれて話すより椅子に座ってゆっくり話しましょう」などと具体的な助言をくれます。ホームヘルパーの動きを見て学ぶといいですね。遠慮せずに「教えてくんなせや」と聞いてください。

ただ、介護スタッフが理想とするノウハウをすべて伝えるかというと、そうではありません。負担軽減のためのノウハウがかえって、介護する方の負担になってしまう心配もあるのです。介護は長期戦になる場合多く、介護する方が要介護にならないようにするのも、大切なことですから。介護のノウハウを一つずつ家族に落とし、それが積み重なって在宅介護がちょっとずつうまくいくようになるのがいいですね。家族の介護力の状況を把握することが重要になってきます。


可能性探る多職種連携

困ったことや気になることは気兼ねなくホームヘルパーに相談してください。ケアマネジャーと連携をとり、医療的な措置が必要であれば医療機関や訪問看護へと繋げてくれます。施設であれば看護師・介護福祉士・管理栄養士が揃っていますが、在宅介護では、その家族がどこまで介護に関われるか、どんなサービスを提供すればいいか、専門職が連携して判断する必要がありますから、ホームヘルパーの気付きが大事なのです。(介護職の気付きが生活の処方箋)

また、介護施設でのケアの目的は、介護される方の可能性を探ることです。管理栄養士、看護師、私たち介護福祉士が関わることで、歩けるようになる、食べられるようになる可能性が広がり生きる意欲に繋がり自信を取り戻すことになります。寝ていても腰を上げられることが分かれば、足に重心をかけて起き上がることも出来ます。立つ力があれば、右・左・右と少しずつ歩くことを試してみる。筋力低下が理由で歩けないのではなく、歩き方を忘れているだけということに気付くこともあります。家庭でそれらの訓練をするのは難しいことですから、ケアプランを作成した時の目標に向かって家族と専門職が協力し合って、介護を受ける方のQOL(生活の質)の向上を目指したいですね。(生活をしっかり保つことがどれほど尊いことか)



ここで、一句

優しい手 そのぬくもりが 介護力

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