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人と関わり気持ちを大切に 介護福祉士の仕事とは

[第10回]

特別養護老人ホームこうめの里/介護福祉士 赤坂玲香さん

2016年8月31日

フラットな気持ち心がけ

この仕事に就いたのは、大好きだった祖母の存在が大きいです。祖母は私が高校生になったころに認知症になり、まだ今ほど地域や周囲の人の理解のなかった時代でしたから、母が苦労したのを見ていたし、私たち子どもにも影響があったからかもしれません。祖母も苦しんでいたと思うのですが、当時何もしてあげられなかったので、他の人の力になれたらいいなという思いはありました。

仕事について12年目ですが、まだまだ勉強しなければいけないことばかりの毎日です。いつも心がけているのは「常に気持ちをフラットにすること」で、心配なことやイライラすることがあっても、出社する時には気持ちをゼロに戻すように心がけています。不機嫌な気持ちで人に接していると、こちらの気持ちとは関係のない相手にまで不快な思いをさせてしまうことに、仕事を通して気づいたからです。とりわけ認知症の方は人の気持ちに敏感だと思っています。

もちろん私も感情は動きますが、自分自身がぶれないようにということを常に心がけています。人との関わりを大切にしたいということ、相手の気持ちを大切にしたいということ、この二つの柱を信念に日々働いています。

大切なのは関わる姿勢

介護の現場ではやはりコミュニケーション力が一番大切です。特別養護老人ホームの利用者は認知症の方も多いのですが、コミュニケーションを成り立たせるには、言葉や態度にきちんと表すことが必要です。また、とても繊細、デリケートですから相手の気持ちを敏感に察します。その方々と接していて、人として大切なことを気付かされるのです。それは相手の言葉に耳を傾け、相手が何を考えているのか理解しようとすることだと思います。相手に関わろうとする気持ち、姿勢、それが介護のプロとしてというより、人として大事なことだと思っています。

7月に体調を崩して2週間ほど入院をしました。その時に、スタッフの方々の行き届いたケアに心身ともに本当に支えられました。病気を治すことに対してはもちろんなのですが、入院していることによって生まれる仕事や家庭への様々な不安や葛藤など、忙しい中さりげなく話を聞いてくれたり、気持ちが上向きになるような言葉をたくさんかけてくれました。ケアを受ける人間というのは、少なからず様々な思いを抱えています。だからこそ、相手の気持ちを理解しようとする姿勢、寄り添い支えたいという気持ちが大切なのだと再認識させられました。


介護福祉士会で成長実感

実はコミュニケーションをとるとか、進んで人と関わるということが昔から大の苦手です。これは、大学で自己覚知の勉強をして気づいたことです。それで、この仕事で自分が成長するためには外部からの力が必要だと思い、新潟県介護福祉士会に参加しました。自分の介護を見つめ直し、スキルアップをしたいと考えました。

これまで勤めてきた職場の中で、先輩の言葉や経験を見て、いわゆる背中を見て覚えるというやり方も経験してきました。ですが、会の研修では講師の考え方が勉強になり、他施設の方とのダイレクトな語り合いが収穫になります。介護の現場は20年前、10年前と比べても随分変化し、尊厳や自立支援という考え方が定着してきました。その人らしさ、個別性ってなんだろう、一人ひとりの暮らしを大事にしよう―そうしたことを考えています。研修に参加してその時に得る学びは、着実に自らの心の糧になっていると実感できます。


一人ひとりの暮らしを大事に

今働いている「こうめの里」も会の研修で知りました。実習先の施設として、丁寧で行き届いたケアにとても驚きました。例えば、利用者の体に合わせて椅子の脚を切ってしまってその利用者が座りやすく立ち上がりやすくするとか、習慣に合わせた様々なタイプのトイレを設置し、それぞれがしっかりふんばれる高さに対応して自然排便を促すとか。ベッドからの転落事故の予防のためベッド上のスペースを増やす工夫をしたり、またけがをなるべく防げるように柔らかいマットを床に敷き詰めるなど。職員の説明と実際との辻褄がきちんと合い、実践がなされていました。

利用者本人の力を生かそうという職員の熱意と、それで実現した設備が多くありました。ソフトにもハードにも介護の可能性があり、職員一人ひとりが理解し実践していることに感銘を受けました。今、入居されている方に喜んで頂きながら、ここで仕事ができるのはとても幸せです。

新潟県介護福祉士会は、出産などで離職した介護福祉士の職場復帰を目指した講習会、一般の方に向けた著名人による講演会、他施設の介護福祉士との交流ができる研修会など、年に50回くらい開催しています。私も会の講習会にはできるだけ参加していますが、無限に得るものがあるので、ありがたいと思っています。


ワーク・ライフの調和

勤務してきた施設や仲間、家族に恵まれ、仕事をしてきました。職場では後輩も多くなり、新しい人もどんどん入ってきます。考え方も人それぞれですから、とにかく耳を傾けて、言葉を聞くようにしています。県介護福祉士会での学びも大きな柱で、驚きと気付きが自分を成長させてくれました。飲み会もコミュニケーションを助け、たくさんの出会いやエネルギーを与えてくれるので家庭とのバランスをとりながらなるべく参加するようにしています。

家庭では仕事をはじめてすぐの出産だったので、産休・育休を経てなおさらしっかり働こうと。不規則な交代制の仕事ですから、子どもの食事や寝かしつけはじめ、家族に支えられて続けてきました。ただただ、感謝です。

休日には冬はスノーボード、春から秋はダム巡りを子どもと一緒に楽しんでいます。どうしても勤務が不規則になるので、子どもにさみしい思いもさせているでしょう。その分、一緒にいるときはたっぷり関わります。スノーボードに出かける時は早朝からお弁当を作り、少し遠いですがドライブもかねて妙高方面へよく行きます。ダム巡りも子どもがダムカードを集めたり、夏休みの自由研究にしたりするほどはまっています。

ワーク・ライフ・バランスがとれていると言われます。充実した毎日を過ごせるのも好きな仕事と良い職場のおかげかもしれません。

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