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知っておけば慌てない、高齢女性の体の悩み

[第3回]

医療法人 とくなが女性クリニック 医学博士 徳永昭輝院長・理事長

2016年1月15日

老化は女性ホルモンの分泌と密接な関係にあります

女性は、思春期になると卵巣ホルモンの影響を受けて“女性らしくなり”成熟期を迎え、卵巣機能の衰えと同時に50歳前後になると閉経を迎えます。女性の平均寿命を考えると女性ホルモンの分泌が少ない、あるいは停止した状態で約30年以上生きることになり、体に様々な影響が出てきます。この閉経後に発症する女性の体の異常は、卵巣から分泌されていたホルモン“卵胞ホルモン;エストロゲン”が関係していることがあるので、婦人科を受診されて相談することで解決できることも多く、下記のような症状が気になるときには婦人科を受診して相談されるとよいと思います。


【女性ホルモン;エストロゲンの分泌停止によっておこる身体の変化】

  • 膣の粘膜の萎縮……性交痛、性器出血
  • 外陰部の異常……かゆみ、痛み、乾燥
  • 子宮・膣の下垂・脱出……痛み、違和感
  • 尿失禁・頻尿・残尿感
  • 骨粗しょう症……下腹部痛、腰


日本人女性の我慢強さは、病気を進行させる原因のひとつ

女性ホルモンと呼ばれるエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が低下すると、自浄作用の働きがなくなり、膣や外陰部の感染が起こりやすくなったり、膣の粘膜の萎縮などによる性交痛や陰部のかゆみ、慢性膀胱炎症状のような下腹部の痛み、血尿などの異常が現われたり、骨盤の中の筋肉が弱くなるために子宮が下がってしまう子宮下垂や子宮脱が起こることもあります。そのために頻尿や尿が出にくい排尿困難、時には出血したり、外陰の違和感などで悩んでいる方がいらっしゃいますが、多くの高齢女性は“この歳になって婦人科に行くのが恥ずかしい”と思い、誰にも言わず我慢してしまいがちです。また、超高齢化社会にあって家族の介護や家事で忙しいなど、自分の事は二の次に考えてしまうのが閉経を過ぎた日本女性特有の意識です。昔の人は特に我慢強く、いよいよ我慢できなくなり、どうしようもなくなってから受診する老婦人が少なくありません。最近、介護に追われて時間がなかったと言って相談にこられた訪れた患者さんは、乳がんのために乳房の大半が“がんのために崩れ落ち”乳首しか残っていないような状態になっていました。そんな状態になっていても“介護のためと言って診察のこれなかった”といっていましたが、気の毒な老夫人を見て心が痛む思いをしました。逆に、匂いやおりものの量が気になり、自分が病気だと思い込みながら長く悩んでいたが、思い切って受診し、異常なかったことが分かり喜んで帰っていかれるご婦人が少なくありません。匂いや外陰部の違和感などの症状は、なかなか診察しても原因が分からないことも多く“異常ありませんよ”と言われても、なかなか自覚症状が改善しないで悩まれて相談にこられることも少なくありませんが、本人にとっては日常生活に支障をきたすほど悩まれる老婦人もおられます。大変な病気が背景にあることはほとんどありませんが、お一人で悩まないで、気になることがあったら、婦人科で診てもらえば安心できると思います。男性の場合は、自分の事は二の次という考え方が少ないので、奥様の悩みや異常に気づきにくいとお思いますが、時には奥様やお母様の様子を見て“何かおかしいな”と思うようなことが見られた場合には、婦人科の受診を勧めてみることも良いと思います。



若いうちから、誕生日の検診を習慣に

日本の女性の平均寿命は長くなりましたが、高血圧、糖尿病、高脂血症、骨粗しょう症といった合併症などを患っている場合が多く、高齢者になると“恥ずかしさ”が先になって婦人科の受診が遅れてしまうのが現状です。
最近は、長年悩んでおられる高齢夫人の“子宮・膀胱脱”の手術を積極的に行うようにしています。高齢になって子宮脱のために行われる処置のために婦人科を受診されるのはもっと大変になると思い、患者さんの負担を軽くするために手術を行っています。長く悩んでいた症状が治ると、認知症の症状なども軽くなる事もあります。“子宮が下がる、尿が出にくい”ずっと、そればかり気にして負担になっていたのだろうと思います。子宮脱の治療には膣式手術といって、お腹を切らずに手術をしますが、年齢を考慮しながら手術方法を考えます。ほとんど寝たきりの80代後半の患者さんにも行いましたが、本人が楽になると、やはり家族も安心なんです。

婦人科の受診を恥ずかしいと思わないためにも、若いうちから定期的に検診を受けておくと良いと思います。忘れないようにと、誕生日に婦人科検診を受ける方もいらっしゃいますが、非常に賢明な考えだと思います。最初にも言いましたが、高齢に限らず、女性の身体の問題は卵巣ホルモンに関係した症状も多く、婦人科を受診することで解決できることが少なくありません。
婦人科検診の際は、超音波(エコー)を使って、卵巣や子宮、腸管の動きなど、骨盤の中に異常がないか診ています。閉経を迎え高齢者には食生活の変化のせいか、子宮体がんが増えています。子宮頚がんはウイルスの感染が(ヒトパピローマウイルス;HPV)原因となりますが、については、子宮体がんは卵巣ホルモン;エストロゲンが関係します。特に閉経を迎えた婦人で不正出血がある場合には、子宮頸がんのほかに子宮体がんの検診を受けることが大切です。特に気になる症状がなければ、公費補助のある子宮頸がんの検診時に、子宮体がんの検診について相談してください。早めに調べておく事をおすすめします。超高齢化社会の中、女性が気持ちよく暮らすために、なにかお悩みな症状がある場合にはもっと婦人科を活用してもらえたらと思います。

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