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スマートフォン多用による悪影響

[第3回]

医療法人 ささがわ小児科クリニック 笹川 富士雄 院長・理事長

2016年1月15日

子どもの性格や行動に働きかける電子機器の悪影響を知るべきです

授乳時のスマホやテレビは、絶対避けてください。
最近多く見かける、テレビ・ビデオ・スマホを見ながら、赤ちゃんに授乳しているお母さん達の姿に、小児科医は大きな衝撃を受けています。授乳期は、赤ちゃんが最初に母親と社会的な繋がりを確立する時期なのです。子どもの成長を大きく二つに分けると、ひとつは家庭でちゃんと人間関係をつくること、ふたつ目が保育園・幼稚園・学校で人間関係を作り、最終段階の社会生活という大きな世界で活躍する足がかりを得ることです。一番初めの、一番大切なことは、お母さんが赤ちゃんの目を見ながらおっぱいをあげることで、すべてはこの時から始まっています。一番大切なその時を大切にしてください。

生まれたばかりの赤ちゃんは、30㎝くらいの所が一番よく見えて、特に目の動きに反応しています。赤ちゃんを抱っこしておっぱいを飲ませている距離がちょうど30㎝、不思議とそういうふうに出来ているんです。授乳中の赤ちゃんは、ただ飲んでいるだけでなく、お母さんの顔や目を見ながら飲んでいるのですが、動物の赤ちゃんは、お腹がいっぱいになるまで一気に飲み、人間の赤ちゃんは、お腹がいっぱいでなくても途中で止めてお母さんの反応を見て、また飲み始める唯一の動物。赤ちゃんはお母さんと視線を合わせ安心する、お母さんは赤ちゃんの表情を見て母性を育むことでおっぱいが良く出るようになるなど、お互いにコミュニケーションを取りあうことで、社会生活の第一歩を踏み出しています。この大切な時間に、よそ見しているのは残念なことです。



社会性は、家庭で育まれます

昔は、テレビやビデオを見させておいて家事することを、テレビに子守りをさせていると言って笑っていたのですが、今はスマートフォンで、あやしたり、叱ったりと本当に子守りが出来るアプリがあると言うので、笑えない状況になっています。特に、授乳中だけは絶対に避けてください。自分への反応を見て行動し、またこちらの反応を見ながら言葉を覚えるなど、赤ちゃんは、お母さんとコンタクトをとりながら、コミュニケーション力を養っていくもの。家庭での社会性が確立されないと、先に色々な問題が起こってくるはずです。


メディアから離れられない子どもに起る医学的な問題点

今、スマートフォンやタブレットで、親は親、子は子で熱中してしまいコミュニケーションが完全に断絶している状況が見られますが、メディア機器から離れられなくなってしまった子どもに起る、いくつかの医学的な問題点を紹介します。

  • ブルーライトによる刺激で、睡眠を起こすメラトニンが出にくくなるため寝不足
  • 言葉の遅れや、コミュニケーション能力の発達の遅れなどによる社会性への影響
  • 運動しないため筋力低下、平面を見続けることで立体視ができないなど視力低下、自律神経の働きの不良
  • 現実と非現実が区別できない

これらは、勉強に集中できない、きれやすい、低体温、起立性低血圧などのマイナスの影響を与えてしまうことになります。



家庭でルールを作るのは大切なことです

親子でゲームを楽しむのはひょっとして無条件に良いことと思っていませんか。親がまずメディア・リテラシーを身につけ、10年、20年後に及ぼす影響について危機感を持つことが大事です。将来的にネットトラブルに巻き込まれないためにも、子どもに伝えていかなければならない事を親は学んでおくべきです。日本小児科医会が発信する「5つの提言」を参考に、家族で話し合ってルールを決めておくことをお勧めします。

[メディア機器との上手な付き合い方/5つの提言]

  • 2歳までのメディア機器の視聴は控えましょう
  • 授乳中・食事中のディア機器の視聴はやめましょう
  • メディアへ接触する時間を制限することが重要です
  • 子どもの部屋にテレビ・ビデオ・パソコンを置かないようにしましょう
  • 保護者と子どもでメディアを上手に利用するルールを作りましょう


3歳までの可愛い時期を見逃さないでください

現代は共働きが多く、昔に比べて父親が子育てをする機会が増えているのは良いことで、将来的に良い親子関係に繋がるはずです。忙しかった私も、子ども達をお風呂にだけは入れてあげていたのと、一緒にいる時間が少ない分、妻が私を神様のような人だと子どもたち伝えてくれたおかげで、成長しても子ども達から分不相応の「尊敬」を受けているようです。子どもに優しくすることは、将来、特に子どもが思春期になったときの自分のためでもあります。子育てが楽しいと思える父親がもっともっと増えて欲しいですね。
「三つ子の魂百まで」と言われますが、赤ちゃんの脳が大きく育つ3歳までは、多感で大切な時期です。また、何かやってあげたくなる一番可愛い頃。親も子もゲームなどスマートフォンに夢中になっているのはもったいないですよ。何万画素であろうがバーチャルの世界はバーチャルの世界に過ぎません。現実の世界の方がずっと美しいのですから、この現実の世界を子どもと一緒に見て触れてください。これが小児科医からの強い願いです。

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