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小児科はママを応援する『子育て支援』の場

[第4回]

よいこの小児科さとう 院長 佐藤 勇 先生

2016年3月15日

小児科は、ママを応援する『子育て支援』の場

私が中学生の頃、家には兄夫婦の赤ちゃんがいました。あたり前のようにおむつを替えるなど育児を手伝っていたものです。どこの家も兄弟姉妹が多く、小さな子の面倒を見て、自然と親になる練習をしていました。核家族化の進んだ現代ではどうでしょうか。月に一度、産科に出向き小児科医として、出産を控えた皆さんに講演会をしているのですが、聞いて見ると、親になる前に赤ちゃんに触れたことがないというお母さんが少なくありません。反面、インターネットの普及で情報は簡単に手に入るため、「経験不足なのに情報過多」というのが、最近のお母さんたちの特長の一つです。そのような現状に合わせ、小児科医がこれからやっていかなければならないのは、子育て支援の視点も合わせて接していくことだと思っています。病気を治すだけの場所ではなく、もう一つ先に手を差し伸べた「子育て支援の役割」が小児科にはあると思います。

若い親御さんの中には、「熱が出たら、服は何枚着せればいいのだろう」「お風呂に入れていいものか」と、昔なら一緒に暮らしていたおばあちゃんが教えてくれたような事にも悩み、何かあるたびにインターネットで調べ、色んな意見に迷い、絞り切れず途方にくれてしまう事もあるようです。地域の子育て支援センターなどで相談することも可能ですが、ダメな親だと思われたくない、とか、周りの目を気にして、行けない人もいます。そういう人に手を差し伸べられるのも小児科医の一つの特徴で、例えば、子どもの「定期健診」は医師に気軽に相談できる一つのチャンスだと思っていただきたいです。

病気とは直接関係なくても構いません。「どうやって絵本を読んであげたらいいかわからない」という相談もありました。健診は子供どもを診察してもらうだけではなく、日ごろ不安に思っていることを質問して不安を解消する機会としても捉えてもらった方がいいですね。聞きたいことを、紙に書いて持参し、先生に話を聞くという方法もおすすめします。私の意見ですが、そういった質問は母子手帳の空欄には書かないで、そこはお母さんやお父さんの生まれてきてくれたお子さんへの想いを書いておくスペースにして、成人になった時に渡してあげると素敵だなと思います。



病気かなと思ったら、まずは小児科へ

子供に湿疹ができると、皮膚の事だからとすぐに皮膚科と考える親御さんがいます。また、熱は小児科、鼻水は耳鼻科と思われる方も少なくありません。皮膚科は皮膚の専門家ですが子供どもの専門家ではありません。ひとことに耳鼻科と言っても、喉の専門、耳の専門と得意な分野が違うこともあります。子供が病気かな、と思ったらまずは小児科に来てほしいです。ゲートキーパー(=門番)として相談に乗り、治せるものは投薬で治し、小児科で対処できないと判断すれば、疾病に合った専門医を紹介します。最近は、より専門的な分野に特化して勉強している医師も多いため、専門外の所に最初に行ってしまうと逆に遠回りになることもあります。専門医を受診する場合でも、小児科の紹介で行く方が子供どもにも負担をかけずにすみます。

かかりつけの小児科はホームドクターに近い存在。家族構成、子どもの体質や性質、親御さんの性格を知った上で、適切な治療を行えるメリットがあります。受診の時には、詳しい症状のほかに「何を心配しているか」をきちんと伝えてください。例えば、高熱が出た時に自分が子供どもの頃に髄膜炎になった経験があるので、同じようにならないか心配だと具体的に言ってもらえれば、これから起こる予測できることを伝え、対処方法を教えることが出来ます。不安の解消は、治療の満足度も高めるので、医者と患者の良い関係づくりに繋がっていくはずです。



発熱時は、普段の様子と違うかどうかを見るのが大切

発熱について最近、気になるのは、体温のみで子どもの体調を判断してしまいがちということです。熱が何度あるかだけでは、子どもの病気はわからないもの。どんな論文にもない37.5度を目安に、お母さんたちも熱さえ下げればいいと思っている感覚に、違和感を覚えます。普段の様子と違うかどうかが大切で、たとえば「食欲」を見てほしいですね。やはり、子どもの事を一番知っているのは親御さんです。以前、私が診察したお子さんは、元気そうで特別悪くは見えなかったのですが、お母さんはいつもと違うと、しきりに気にしていました。夜になってからインフルエンザ脳症を発症してしまったのですが、その判断があったおかげで対応が早く、後遺症も残らず難を逃れたことがありました。子どもを見る親の視点はすごいなと思います。経験がないから体温ばかりが気になってしまうのでしょうけれど、体温のほかに、普段の様子と違うかどうかをポイントにしていただければと思います。


これから必要とされるのは、家庭看護力の向上

新潟市には24時間対応の急患センターがありますが、受診の必要のない子どもたちがこられることも少なくありません。経験の少ないご両親だけで、家で子どもを見ている親御さんが、慌てるのは無理もありません。昔は、家に祖父母がいて、「それくらいなら大丈夫だよ」と経験上のアドバイスを言ってくれたものです。安心できる繋がりがないということが、経験不足を加速させています。今後、私たち小児科は、子育て支援の意味も含め家庭看護力の向上に取り組んでいかなければいけないと考えています。親御さんたちは皆、ちゃんと育てなきゃと思うあまり、プレッシャーを感じて育児をされていますが、子どもは自然に育つようにプログラムされているもの。それでいいんだよと伝えたいし、家庭看護力を高めて自信を持って育児をしてほしいと思います。

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