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食物アレルギーの正しい知識

[第5回]

よいこの小児科さとう 院長 佐藤 勇 先生

2016年4月15日

食物アレルギーの検査について

今、食物アレルギーについて漠然とした不安が強くなっています。症状もないまま血液検査をして欲しいと言われることもあるのですが、実は血液検査だけでは判断がつきにくいということがあります。乳幼児期の子どものアレルギーでは、免疫反応を引き起こすIgE抗体(免疫グロブリン)を作りにくく、ましてや症状がないとなると、血液検査は子どもへ身体的な負担をかけるだけになることがあるのです。

もしも、何か食べた後に湿疹や唇が腫れるなどの即時反応が出て心配であれば、先ずは、かかりつけの小児科を受診してください。症状が出た食べ物はしばらく止めてみる、湿疹などは軟膏で対処するなど、治療に対する反応を見ていき、反応が悪ければ皮膚検査(プリックテスト)でアレルギー食品にあたりをつけていく、というようなことをするのが一般的です。

食物アレルギーもアトピー性皮膚炎も学童期までに多くが改善される

食物アレルギーとアトピー性皮膚炎を混同しがちですが、別なものです。「そうよう掻痒によって形成される湿疹を主病変とする疾患」というアトピー性皮膚炎の定義によってアトピーと診断されます。すると、食物アレルギーとアトピーを混同したまま、一生治らないのではないかとショックを受けてしまう親御さんが多くいますが、アトピー性皮膚炎と言っても、すべてが食物アレルギーとは限りません。多くは食物アレルギーによって引き起こされるものですが、成長と共に免疫機能が発達するなどして、アレルゲンに対して耐性ができるため、学童期までに約8割の子どもたちに改善がみられます。



また、食物アレルギーというと、食べられないことばかり気になってしまうものですが、他にも食べられるものがたくさんあると、発想を変えるのが大切です。たとえば卵アレルギーの方であれば、他の食品からもタンパク源は十分に摂れるので過敏に気にすることはありません。加えて、血液検査で、卵のアレルギー反応が出たとしても、アレルギーを起こしやすいオゴムコイドという部分が低ければ、加熱すれば食べられるということもあります。食べられる他の多くの食材で工夫して食事を楽しむことを心がけましょう。



小児科が繋ぐ、医療機関の連携

食物アレルギーは、皮膚に現われ、喘息になり、鼻炎になるといったアレルギーマーチと呼ばれる連鎖を引き起こすことがあります。徐々に症状が変わってくることと、喘息が良くなればアトピー性皮膚炎になり、皮膚が良くなれば喘息が出るといったことも繰り返されるため、その都度、それぞれの専門医を受診するよりは、子どもの身体をすべて診てあげられる小児科を受診するのが効率的だと思います。中には、特殊な治療や検査をしなければいけないケースもあるのですが、その場合は私たち小児科医が、その症状に合わせた専門医を紹介するので、連携して診てもらうことも可能です。実際に、ひとつの医院で解決できない子どもも増えてはいますが、地域の連携が整備されているので、先ずは小児科で治療を受けて、医師の判断に任せてください。



アレルギー疾患とスキンケア

食物アレルギーはアレルゲンとなる食品を食べなくても、皮膚から浸透して発症するというケースもあります。その際に大切になるのがスキンケアです。皮膚の湿疹の多くは、室内の乾燥が大きく影響するということがあります。乾燥の要因としては、高気密高断熱へと変化した住宅環境や、エアコン・ファンヒーターなど暖房器具の変化、温暖化による湿度の変化によることも挙げられます。乳幼児の角質層は、大人の3分の1しかないので、乾燥には敏感に反応します。乳幼児の生活環境などを小児科医に相談するのも良いと思います。そのほか、乳幼児の入浴時は、肌に負担をかけるガーゼなどは使用せず、手で優しく洗ってあげるのが良いと思います。

また、医院で処方された軟膏を正しく使うことも大切です。分かりやすい飲み薬と違って、量や塗り方を間違うと効果が現われないということもあるので、最初に、医師や薬剤師に詳しく聞いて使用してください。今は、少し前に心配されていたステロイドも上手に使うお母さんたちも多くいます。プロアクティブ療法と言って、処方された軟膏を1週間続けて、翌週は2日に1度というような使い方もしています。市販のローションなども保湿効果の高い安全なものがあるので、上手にお子さんの肌をケアしてほしいですね。


新潟市が取り組む「新潟市幼児児童生徒食物アレルギー対応マニュアル」

食物アレルギーによるアナフィラキシーショックの事故を受けて、新潟市内の幼稚園・小学校・中学校の教師、医師、養護教諭、栄養管理士による「新潟市幼児児童生徒食物アレルギー対応マニュアル」を作成しました。給食で提供する食品管理から、生活・学習面の環境など事故が起こらないためのコンセンサスと共に、万が一起きた場合の緊急処置の仕方、エピペンの使い方など、あらゆる側面から配慮を促し実行するためのものです。食物アレルギーの子供と一緒に過ごす園児や生徒、その保護者への啓蒙も進めていくことが大切だと考えます。

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