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親とよいこのサポートステーション 「はっぴぃmamaはうす」ができました

【第6回】

よいこの小児科さとう 院長 佐藤 勇 先生

2016年6月13日

子どもと一緒にリラックス 母親のためのサロン

 子育ては本来、楽しく幸福な時間であるはずです。しかし誰にも相談できず、誰にも頼れない。一人で世話をしなければならない時のストレスは大変なものですね。5月にオープンした親とよいこのサポートステーション「はっぴぃmamaはうす」(新潟市中央区神道寺1)は、母親のためのサロン。県の少子化対策事業の支援を受け、NPO法人 はっぴぃmama応援団とともにつくりました。定期的にさまざまなセミナーを開催しています。送迎バスもあるので、ぜひお子さま連れで遊びに来てください。

はっぴぃmamaはうすには、休憩や相談スペースとして使える個室に、広いバスルームもあります。育児中、母親は一人でゆっくりお風呂に入ることさえできませんから、息抜きをしに来てください。ワンコインランチ(500円)も楽しめます。母親が自分のストレスを減らすこと、リラックスすることが、幸福な子育ての最初の一歩です。

少子化社会での子育ての難しさ

 満員電車にベビーカーを乗せるなとか、幼稚園がうるさいとかいう声が上がるのは、少子化ゆえの現象だと私は考えています。世の中に子どもがたくさんいれば、当たり前の光景だから誰も文句を言わないはず。子どもと接する機会が少ないせいで、子どもが異質なものに映る。だから騒音に聞こえてしまうのです。こうした社会では、母親は孤独に陥ってしまいます。少子化がさらなる少子化に拍車をかけているのが日本の現状ではないでしょうか。

 そんな社会を変えるために、それぞれにすべきことがあります。私たちは自らすべきこととして、はっぴぃmamaはうすをつくりました。

 お母さんにもアクションを起こしてほしい。子どものいる場、お母さんのいる場、子育てが異質ではない場に自ら赴いてほしいのです。他の子を見れば、自分の子だけが特別なのかと悩まずに済みます。子どもはみんな違うこと、母親はみんな少なからずストレスを抱えていること、「自分だけ」じゃないことが分かるはずです。



「また産みたい」と思えるような子育て支援を

 フィンランドの子育て支援ネウボラがいま、注目を集めています。ネウボ=アドバイス+ラ=場の造語で、産科、小児科、助産師、保健師、カウンセラーらが集い、出産から子育てに至るまで母親と子どもだけでなく、家族を切れ目なく支援する地域の拠点になっています。

 妊婦の時に診察を受けた場所で子どもを診察してもらうことができる上に、カウンセリングが充実しています。地域ごとにこうした拠点があるのは、子どもは国が責任を持って育むという思想があるからです。

NPO法人 はっぴぃmama応援団の松山由美子さんはネウボラを一つの理想として活動をなさっています。私は松山さんから「出産を契機にもう産みたくないと言う人が増えてきた」と聞いて驚きましたが、自分の周囲を思い返せば確かにそうなのです。お母さんが「もういい」ではなく「また産もうかな」と思えるような環境づくりこそが、私たちにできる少子化対策だと考えています。

子育てに理念法を

 産科、小児科とも、これまでの医療は「生命」だけを見てきました。もちろん生命は何より大事ですが、昔は救えなかった生命が救われるようになり、結果として障害のある子どもが産まれることがあります。そうした親子をきちんとケアできているかといえば、そうはなっていない。法の支援は障害者総合支援法と母子保健法だけ。父子家庭の場合はもっと悲惨です。とても「また産もうかな」どころではない。高齢者の介護や認知症ケアの分野では、ケアする家族をどう支えるかという視点があるのに、子育てにはありません。

 日本小児科医会では「健やかな子どもの育成は国の責務である」という基本認識を確認し、本人とその養育者に必要とされるサポートを推進してゆくための理念法の成立を目指して活動しています。

 私の医院では2000年から病児保育を行っていますが、病児保育の施設と体制は障害児の一時預かりに必要なものがそろっています。しかし預かろうと思っても、病児保育は保育課、障害児は保健所と、行政の所管が異なるから預かることができない。縦割り行政の不合理の解消、支援を求めている側からすれば「不条理」ですが、まだまだ道半ば。ですから理念法が必要なのです。

 同時に、高齢者を対象に整備が進んでいる地域包括ケアの中に子育てを取り込む働きかけを行っています。地域包括ケアは、施設と在宅での医療や介護、介護者のサポート、地域全体での見守りなど、高齢者の切れ目ない支援のために考えられた体制づくりです。この「環」の中で、地域で継続的に子どもを見守るのは、理にかなった素晴らしいことではないでしょうか。

 はっぴぃmamaはうすは、まだ始まったばかり。今後どのように場を活用し、育てていくかは走りながら考えていかなくてはなりません。皆さんにもぜひ、子育てが楽しいと思える社会、また産みたいと思える社会づくりのためにできることを考え、行動していただければと思います。子育てが楽しい、また産みたいと思える社会は、誰にとっても良い社会だからです。


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