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ケアを必要としている人を主役に 実情に合わせた地域独自の取り組みを

吉沢先生にお伺いしました

県医師会副会長 吉沢浩志先生

2016年9月10日

都市部もあれば過疎地もあり「地域」の差が大きい新潟県で地域包括ケアシステムはどのように運用されていくのか。県医師会吉沢浩志副会長に、現在の取り組みについて聞きました。

地域とタマネギ

—医療介護を一体化してそれぞれの地域で、地域づくりの中でやっていこうというのが「地域包括ケアシステム」ですが、都市部もあれば過疎地もある。新潟県内の現状の取り組みと課題は?

今各地で始まったばかりなので、まだこれという形が見えたところはないですね。地域の枠は中学校区ということになっているんですが、マンモス校もあればそうでない学校もあり、校区に病院があるところもあればないところもある。なので「地域」をどこからどこまでにするのかということもフレキシブルに考える必要がある。平成23年から全国でモデル事業が始まり、県内でも6事業が採択されましたが、そこであぶり出された課題は「多職種連携だ」と。そこで国は多職種連携にはICTの活用だということになったんですが、ITはなくとも既に連携できているところはある。「地域包括ケアシステム」は従来の考え方を切り替えて取り組まなくてはならないですが、地域にある資産を壊して新しく何かを作ることではない。一番大事なのは何か?と常に問いながらやっていきます。

—それは何ですか?

ケアを必要としている人ですよ。オランダ発祥の「タマネギモデル」という考え方があります。ケアを必要としている人を真ん中に、近所の人、行政、介護、医療、フォーマル、インフォーマルを問わずさまざまな資格の人が、同じ高さから重層的に包み込んでいく。これからのケアと地域のあり方を考える上で、非常に重要な考え方。医師として、療法士として、近所の人として、同じ地域社会の一員としてその人に何ができるか。誰でもいいし、どんな立場でもい。自分ならどんな支え方ができるかということから考えてほしい。

—医療福祉分野の方々は情報交換がされていると思いますが、県医師会の立場としてインフォーマルな地域住民の方々に力を発揮してほしいことはありますか?

何をしてほしいか、あるいは何が足りないか声を上げてほしい。困っていることがあるのに言えない人、どこに言えば解決するか分からない人はたくさんいます。本人が上げられなくても、解決する能力がある人のところまで中継してくれる存在があれば動けます。今はそれが一番ほしい。困っている人の声がちゃんと聞こえる地域づくりを一緒にやってほしい。

医療福祉から地域づくりにイノベーションを起こす

—顔の見える関係がある地域にはアドバンテージがありますね。

医療の分野では、新潟市南区と西蒲区でかかりつけ医が「留守番ネット」というのをやっています。在宅医療は土日祝日がないから、休日を輪番にしている。魚沼市と十日町市でも小規模ですがやっています。これはいま作られたものではなくて、前から存在していた。国の施策も流動的なので「地域包括ケアシステム」という言葉に考え込まず、人としての基本に立ち戻ってほしい。

—県医師会として今力を入れていることは?

郡市医師会16団体のうち、モデル事業が採択された5地域には在宅医療推進センターができているんですが、残る11医師会も時季をみて設立してほしいと働きかけています。センターのコーディネーターには地域に根ざし、なおかつイノベーティブな活躍を期待しています。ですから権限も必要ですね。もし人件費の確保が難しければ半分は国、半分は市町村という形を取ってもいい。コーディネーターの職種は、医療系でも福祉系でも、どっちでもなくてもいい。そうした働きかけをしています。

—国に対してはどのようなことを求めていますか?

多職種が一緒になって動くことを評価する仕組み。多職種連携が必要といいながら、会議に出るのも含めてともに活動するのは手当てされなくてボランティアですよ。気持ちを持ち続けるためには、評価されることも重要です。

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