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地域包括ケア推進 役割増す看護職

看護職就職応援キャンペーン2018

新潟日報

2017年2月27日

地域包括ケア推進 役割増す看護職

看護職就職応援キャンペーン2018

朱鷺メッセで26日

ささえ~る+セミナー同時開催

 病気や障がいがあっても最期まで住み慣れた地域で暮らせるようにと、「地域包括ケアシステム」の構築が県内で進む。医療面でも病院から在宅療養への転換期にあり、看護職には新たな役割が期待されている。新潟日報社が主催する看護職就職応援キャンペーン2018の新潟会場(26日、朱鷺メッセ)では、「地域包括ケアシステムと看護職の未来(あす)」をテーマにした、ささえ~る+セミナーを同時開催する。本特集では、セミナーで基調講演する佐久総合病院(長野県佐久市)の関真奈美看護部長に先進的な地域包括ケアの取り組みを聞いた。また、「潜在看護師」の復帰採用に積極的な社会福祉法人長岡福祉協会「高齢者総合ケアセンターこぶし園」で、訪問看護と介護施設の現場で活躍する看護師の思いを伝える。


専業主婦からパートで復帰

訪問看護 在宅の支え

 地域包括ケアのキーパーソンとして、訪問看護師への期待は大きい。医師の指示に基づき病状に合わせた処置や世話をし、在宅の療養生活を支える存在だ。

 こぶし訪問看護ステーションの訪問看護師、小田島恵美さん(37)は3年間の専業主婦生活を経て、2011年に看護職に復帰した。4人の子育てと両立するため夜勤がなく、子どもたちを保育園に預ける間に働くパート勤務の契約だ。以前に病棟勤務を通算6年経験したが、訪問看護は初めてだった。


キーパーソン やりがい実感


 「最初は一人で容体を判断し処置する責任の重さを感じたが、今はベッドサイドで寄り添った看護ができるやりがいを強く感じている」と話す。

 小田島さんは1月末、要介護4の認定を受け長岡市の自宅で療養する大塚ノリさん(84)宅を訪ねた。「今一番難儀なのはどこですか」「咳(せき)は出ていない?」。耳の遠い大塚さんに大きくはっきりした声で話し掛けながら、高カロリー溶液を点滴する。その後に体を起こし、リハビリを指導。家族と医療・介護関係者が共有する申し送りノートとタブレット端末に記録した。


家族に安心感 援助通じ成長


 同居する長女(57)は退院前に在宅での処置方法を学び、輸液交換や排便介助などを担う。「点滴の針が抜けて一瞬パニックになったこともあるが、いつでも訪問看護師さんに連絡できると思うとすごく安心感がある。ありがたい」と感謝する。入院中によく熱を出した大塚さんは、いつも手入れしていた畑を眺められる自室に帰って元気になったと笑う。

 「訪問看護では本人の自宅で暮らしたいという意思と、それを支える家族の愛を感じる」と小田島さん。「各家庭それぞれで、性格も生活背景も違う人生の大先輩たち。何が求められているかを考えながら援助することで、人として成長させてもらっている」と語る。

 家族やヘルパー、薬剤師らの相談に応え、信頼関係を築くことが自信にもつながった。いずれはフルタイムで働くのが望みだ。





ブランク13年、福祉の現場へ

頼りになる「お母さん」

 「まさかもう一度看護師の仕事ができるとは。それも福祉の世界にいるなんて驚き」と振り返るのは、サポートセンター千手併設の特別養護老人ホーム千手で常勤看護師を務める住安浩子さん(51)。2005年に再就職するまで、13年間のブランクがあった。

 結婚で病院勤務を辞め、3人の子を育てていた。小学校のプール監視員講習で、こぶし園看護師の母親仲間が「心臓マッサージしたことある人は?」と尋ねた際に手を挙げたのが、看護職への誘いにつながった。


本人と家族の気持ち橋渡し


 最初は平日午前だけ特養で薬を分包するパート勤務だったが、新しい看護技術を習得しながら少しずつ勤務時間を延長。上司に勧められ異動した訪問看護の体験が転機となった。親身な看護で密接な関係を築き、介護される本人と家族、それぞれの気持ちをさりげなく橋渡しする役割も学んだ。

 11年にフルタイムの正職員になり、14年から現職。20人の利用者に経管栄養やカテーテルの交換、褥瘡(じょくそう)の手当てなどを行い受診にも付き添う。週1度回診する嘱託医の神谷医院、神谷岳太郎院長(70)は「現場で的確に判断でき、頼りになる」と評価する。

 一人一人の様子を見て、笑顔で話し掛ける住安さん。「利用者のことを一番に考えて、『お母さん』の役割をイメージして働いている」と言う。介護士とチームを組み、家族と医師の間に入って本人の状態を共有する。

 「思うようにばかりはいかない子育てを経験して、看護でもこうじゃなければという固定観念がなくなった。利用者や家族、チームのみんなに頼られることがモチベーションの上がる源」と語る。


看とりで実感 看護の奥行き


 地域包括ケアの推進で特養は、看とり期の対応が求められている。「千手」での最期を望まれれば、医師が家族に最期が近づいたことを説明し、家族の気持ちが定まると介護士が看とりのケアプランを作る。

 家族の手から一さじ好物を口にしたり、楽しみな風呂に入ったり。安らかな旅立ちまで家族に寄り添い援助する。住安さんは「特養でまた看護の奥行きの深さを感じた」と話した。


地域医療の先駆け 佐久総合病院・関真美子看護部長に聞く

患者に寄り添って 訪問看護充実


 地域包括ケアシステムの推進で、医療と介護を橋渡しする看護師の存在感が高まっている。佐久総合病院は充実した訪問看護や多職種連携施策で全国のモデルとなり、看とりやグリーフケアなど患者と家族に寄り添う病院づくりを進める。関真美子看護部長にその取り組みと看護職の役割を聞いた。


 佐久総合病院は戦後すぐから、患者を待つのではなく馬車に乗って貧しい農村へ出て治療してきました。その精神がずっと訪問診療・訪問看護へと引き継がれています。


「地域の中へ」伝統受け継ぐ


 在宅医療を組織として担う地域ケア科を1994年に設置、翌年には科内に第1号の訪問看護ステーションをつくりました。地域医療に熱心な医師が院内に多くいて、訪問看護も右肩上がりで増えました。

 長野県は高齢者人口千人当たりの訪問看護利用者数が都道府県別で全国最多の約22人と、最少県の4倍にも上ります。当院のある臼田地域に限れば、その数は52人。6カ所になった当院のほかにも各病院や個人の訪問看護ステーションが増えました。24時間体制の当院は年間約4万件実施。在宅医療で「佐久モデル」と言われる理由は、この訪問看護の充実にあります。

 本人や家族が自宅で暮らしたいと望むなら、その思いをかなえるのが地域包括ケア。医療と介護両方の言葉を理解する看護師は、多くの職種が連携する際の核になります。

 また、地域包括ケア病棟(40床)でも、入院後すぐに退院支援を始めます。介護保険利用者の場合はケアマネージャーと顔を合わせ情報共有。看護師と介護士がパートナーを組んで患者を見るほか、退院前の自宅訪問で室内の段差などを確認してリハビリをします。


入退院の連携 ルールを統一


 これも「佐久モデル」と言われますが、佐久の各病院と介護事業者で「入退院連携ルール」の運用が昨年始まりました。

 様式を統一した情報提供書に治療や生活状況などを記し、入院から退院後1カ月以内の自宅訪問までの定めた時期に、誰が、誰に、何を、どんな方法で伝えるかを明文化しました。例えばケアマネージャーは入院後3日以内に、入院前の生活状況を記入して病院に提出します。医療と介護の切れ目なく適切に支援するためです。


最期の居場所 本人意思尊重


 終末期に寄り添うことは大きなテーマです。末期の厳しい状況で「どうしても家に帰りたい」と望まれ、すぐにカンファレンスを開き、在宅の体制を整えることがあります。訪問看護では介護する家族と話し合い、しっかり患者と向き合います。最期の1週間は連日連夜呼ばれてケアすることも。人生を全うする時を共有し、一人一人に物語があると感じます。

 大事な人を亡くした家族の悲嘆に対するケア、グリーフケアも行います。在宅か病院で亡くなられたかを問わず、四十九日ごろに遺族を訪ね、年1回は故人をしのぶ会を開きます。思い出や介護の日々を関わった看護師らと振り返ることが、癒しにつながるのです。

 地域包括ケアの中で、看護師には患者と家族に寄り添う大きな役割があり、仕事のやりがいにもなっているのです。

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